〜悪魔と老人の物語@〜
昔ある所に、悪魔が居ました。
見るからに凶悪そうな悪魔です。
始めはそう悪い悪魔では
ありませんでした。
しかし、その外見が元で、
人々に嫌われました。
やがて人々に虐められると、
悪魔も人々を嫌いになります。
悪魔は自分を虐める奴らを、
困らせてやろうと思います。
悪魔は努力に努力を重ねます。
どんどん意地悪く、
ずる賢くなりました。
ある日、悪魔が人を騙してやろうと。
森の中で待ち構えていた所。
1人の女の子が通りました。
それは剣を持った、
ひとりぼっちの女の子でした。
彼女はひとりぼっち同士。
悪魔に友達になろうと持ち掛けます。
しかし、今まで傷つけられて、
疑り深くなっていた悪魔。
彼女の事が信じられません。
悪魔は女の子を騙します。
お金を巻き上げ、
恐ろしい怪物と戦わせて。
ついには崖から突き落としました。
しかし丈夫な女の子。
平気な顔で崖の下から戻って来ました。
そして悪魔を懲らしめ、
ツボの中に閉じ込めます。
「しばらくそこで、
大人しくしていて下さい。
そこに居る限り、
貴方は誰も傷つけられない。
そして貴方が傷つく事も無いでしょう」
女の子は悪魔の入ったツボを、
森の中に置き去りにします。
そしてまた、どこかへ行ってしまいました。
それから、何年もの月日が過ぎて。
始めは大人しくしていた悪魔ですが。
次第に退屈になりました。
何とか外へ出られないものか。
そんな時、1人の老人が通り掛ります。
悪魔は彼を利用してやろうと。
裏声を使って話し掛けました。
「そこのステキなお爺さん。
ここです。このツボの中。
私は妖精です。
悪い奴に閉じ込められました。
どうか助けて下さいな」
すると老人はツボを割って、
外へ出してくれました。
「助かったぜ、ジジィ。
お礼に3つの願い事を叶えてやろう。
その代わり、それが済んだら……」
と、悪魔は悪魔流の取引を持ちかけます。
しかし、何か様子がおかしいです。
普段なら、悪魔の姿を見た途端。
誰でも怖がるものなのですが……
「おい、ジジィ!
どこに目ぇつけてんだ?
俺が怖くねぇのか!」
「目だって? ああ、すまんね。
どうにも、この年になると、
物がよく見えなくて、ねぇ」
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