〜暴君と侍女の物語R〜


「よう、終わったかい」

 どこかの浜辺。死神が振り返ると。
 そこには、暴君を送って寄越した
 女悪魔が居ました。

 彼女の背中には白い翼。
 彼女は悪魔のフリをした天使でした。

 死神は天使に言います。

「言われた通りにしておいたよ。
 あんたのトコの神様も、
 面倒な仕事をくれるモンだ」

「散々、戦争を起こした奴だ。
 ただ地獄に送ったんじゃ温いんだろ?
 まずはこの世で反省させるんだってさ」

「まー、私らは、そのお蔭。
 結構な量、魂を集められたがね。
 領地やらを巻き上げたのは何だい?
 反省した王様、ってのも、
 そう悪い政治をしないと思うが」

「市民の恨みは残ったままだ。
 あのまま王座に戻したんじゃ、
 また命を狙われるぜ?
 一応、やっつけられた形にしとくのさ。
 あの2人の為に」

「随分と目を掛けてるじゃないか。
 あの女を助けたのだって、
 本当ならルール違反だろう。
 仕組んだ神様だって、
 怒られるんじゃないかい?」

「ああ、怒られてるぜ。
 今、大天使様の大お説教中」

「ははは、おかしな神様も居たモンだ。
 拾う神ってトコかね。
 まぁ人間、希望も必要だろうさ」

「よく知らないとか言って。
 結構知ってるんじゃないのか?」

「私も、この仕事、長いモンでね」

 やがて天使は、また悪魔の姿を借りて。
 迷える人々を導きに行きます。

 死神は死神として、
 また魂を集めに行きます。


 それは竜の住む世界。
 ちょっと変な神様たちの、
 おかしな世界の物語。



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