黒鷲の旅団
11日目(4)村落防衛戦
〜マンハント・ハント〜
もう日も明けて来たのだが。
しかしゴブリン集団。
が引き上げる様子は無い。
探知魔法で探ると、後方に続々。
援軍が詰め掛けている。
こちら50人ばかりを相手。
既に300を超す犠牲を出しているハズだ。
この集落に、そこまでの犠牲を払う。
そこまでの価値があるとは思えないが。
どうして迂回しない。
ゴブリンにせよ魔王軍にせよ。
目的は首都挟撃じゃないのか。
遅参は覚悟の上か。
あるいは、ここまで犠牲を出した。
だから退けなくなったのか。
刀と小太刀の二刀。
袈裟斬り、刺突。
返し刃の音速剣。
横薙ぎ薙ぎ薙ぎ薙ぎ。
ゴブリンの首がポポポポン。
軽快に跳ね飛んで行く。
これだけ殺してよく怯まないな。
強化魔法、義手。
ゴブリン1匹を捕まえる。
素手でも頭を潰して見せる。
流石にビビってくれただろうか。
敵陣に脱走する姿がチラホラ。
しかし隊長らしい奴らに殺されている。
軍律違反か。魔王軍の軍紀は厳しい様だ。
魔王軍全体の恐慌状態を誘いたい。
剣戟の合間、魔法。
熱閃魔法フラッシュリッパー。
高圧レーザーを旋回させて斬り払う。
と、これはダメか。弾着が速過ぎる。
何をされているか分かっていない。
もっと分かり易く痛めつけないと。
「ニ、ニ、ニンゲン共!
聞ケ、聞ケエ!
降伏スルナラ今ノ内ダゾ!」
ゴブリンリーダーから再度の勧告。
恐怖を煽るつもりか。
村人達の死体を掲げて来た。
「しっ、死んだ人に酷い事しゅるなー!」
サンドラが激昂。
噛んでいるが共感は集めた様で。
味方に怒りが伝播した。
恐怖を塗り潰していく。
怒り……そうだな。
俺にも怒りがある。
敵、少し後退。
その誘いには乗らん。
爆薬魔法付与。
セトメ・モデロ58とハーネルStG44。
自動小銃と突撃銃の二丁撃ちだ。
爆発の連鎖でゴブリン達が吹っ飛ぶ。
手足が千切れて宙を舞っている。
更に後退する敵陣。
突撃銃が有効射程外。
長弓、複数射。
爆薬魔法付与。
と、まだ下がるか。
狙撃銃、爆薬魔法付与の追撃。
熱閃魔法も結構飛ぶ。
有効射程は500m程。
離れている内にトロールから潰す。
最接近時の脅威を減らす。
後退しても無駄と観念したか。
あるいは射撃間隔が延びた。
反撃の好機とでも思ったか。
再び前衛役が押し寄せて来る。
刀、小太刀。
居合いから続けて斬首狙い。
と、刀が折れた。斬り過ぎたか。
まあいい。次は魔法で遊んでやる。
毒、強酸、分解、軟化、融解、腐食。
溶解魔法メルトを生成。
ブジュウと音がする。
生きたまま溶けて行く。臭い。
障壁、障壁、障壁、障壁。
閉じた所に重力、重力。
圧殺魔法スクワッシュ。
3匹纏めてブチュッと潰れた。グロい。
黒煙、障壁、空調、減退、束縛、濃縮。
窒息魔法アスフィクス。
そこそこ悶え苦しんで死ぬ。
補助魔法からでも殺せるモンだな。
食い付いて来るオオカミ。
邪魔。踏み殺す。
取りついて来るゴブリン。
邪魔。踏み殺す。
ベキベキボキボキ。
ははっ、汚い。
殺し過ぎだな。
俺もそろそろ感覚がおかしい。
足元が血で滑る。
土魔法で抉って引っ繰り返す。
ゴブリン達、確かにビビっている。
よく見ると何匹か失禁してるし。
歯が鳴っている奴も居る。
涙を浮かべている奴も少なくない。
しかし、退いてくれない。何故だ。
恩賞目当てではあるまい。
逃げたら拷問でも待っているか。
ゴブ質でも取られているのだろうか。
立って居られなくなるまで追い込んでやる。
どちらが狩られる側か思い知らせてやる。
ゴブリン決死隊、怒涛の猛攻。
先方数匹にチェインメイル。
そんな物どこから持ち出した。
両手細剣で突く。抜けなくなった。
一旦放置、ルツェルンハンマーで凌ぐ。
子供達の援護射撃も引っ切り無し。
と、敵陣から矢弾が飛んだ。
戦闘ログ、少量だがダメージ表示。
大丈夫か? 状況!
『だ、だいじょぶ!』
『あっぶねぇー』
『帽子があって良かったよー』
こちらも敵弓兵を先に狙っているが。
多くなると捌く前に撃たれるか。
アンゼさんが任せろという。
花人達を2階へ。
彼女らは障壁魔法を展開。
子供達の半身を守る。
魔女協会の授業で覚えた奴だな。
と、何だって? ソーンナイト?
口走ったのはカトレアンナ。
従騎士気取りの花人達。
壁役も意識してくれている。
不意に大砲か何かの音。首都方向?
花火だ、とイェンナ。
まだ決戦時刻じゃないが。
やるよー、のお知らせか。
公主の気回しだな。
魔人が聞いていたら焦るだろう。
魔王軍、大きく後退。
対応でも協議すると見える。
この隙に、少し休ませて貰おう。
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