黒鷲の旅団
14日目(10)少女従者隊、縦横無尽に
「居たよ! 右前、えっと、2時方向!」
「2時? あああああっちか! 2時っ!」
「銃士隊、雁行陣形で行きます!」
ザコを蹴散らしつつ行軍再開。
まずは第1銃士隊が出動する。
探知される光点を解析魔法で辿ってみる。
名前と一緒にHPバー、レベル表示が浮かんだ。
レベル。ユッタ28、イェンナ24、カリマ22。
カーチャ18、ノイエ20、ルーシャ23。
ダメージでの経験値配分がレベル差に出ているのだろう。
新型狙撃銃の威力で、ユッタが少し飛び抜けている。
ノイエは攻撃魔法の併用が強み。
ルーシャは命中精度で追い上げつつある。
イェンナ、カーチャ、カリマ、焦らないで良い。
みんな頑張っているのは分かっている。
「左からキマイラ! 2頭来るよ!」
「私が気を引きます! 援護を!」
「レーネちゃん中心、鶴翼陣形です!」
弩兵隊。レーネがレベル27、ペトリナ17、ティルア23。
ツェンタ21、アイリス24、テルーザ22。
腕力や瞬発力に秀でるレーネは別格として。
他の子も、攻撃速度の割にレベルが高い弩兵隊。
射撃の合間の魔法攻撃が功を奏している様だ。
アイリスの雷、テルーザの水魔法は威力が高い。
副長ペトリナはレベルこそ低いが、気遣い上手だな。
ティルアに閃光魔法を指示。
ツェンタの植物魔法と併せて足止めを試みている。
人望もある様だし、このまま副長役を預けよう。
レベルだけが序列じゃない。
「4時方向! なんか、いっぱい来た!」
「反転してお魚さん、魚鱗陣形で我慢だよー!」
弓兵隊。レベルはマリナ25、フェドラ31、マルカ24。
エメリナ24、フレヤ23、ジェマ22。
弓術に魔術にと突出したフェドラに隠れているが。
人間種でありながら、強い種族の子達と競っているマリナ。
エメリナの精密射撃はマルカのパワーシュートに匹敵する。
ジェマも腕力を、フレヤも技術を磨きつつある。
複数射のダメージ効率も良く、バランスよく育っている。
しかし、敵が多い。
編成は武装したオークやコボルド。
どの隊を応援に出すか。
「助けなきゃ! 行かなきゃ!」
『フィリッパ、待って! みんなで行くんだよ!』
「鋒矢陣形で側面を突くわ。ヘレヴィ、先行するわよ」
第2銃士隊。自発的に動いてくれた。
レベルはジルケ17、フィリッパ12、ヘルヴィ54。
ヘレヴィ54、ローダ18、テクラ17。
フィリッパ、成長株。出掛けはレベル1だったんだが。
ジルケもよくフォローしている。
銃に慣れているローダとテクラも問題は無さそう。
ヘルヘレを先頭に、弓兵隊と当たる敵を側面から急襲。
まだ射撃に慣れないか、距離を詰めがちな双子。
慣らす一方で、銃剣とかも用意してやった方が良いだろうか。
と、後方からパアン。銃声?
マイナさん? 撃ったのはクレールヒェンか。
後方に敵。知らせようと……違う。当てている。
ヘッドショットとは心得があるのか。
馬車に作戦司令部、ヘッドクォーター。
俺、レベル42。サンドラ30、トゥーリカ25。
デルフィアンヌ775……ん、1つレベルアップしてる?
マイナさんは17、ハミルトン爺さん53。
クレールヒェンがレベル4。
ジュス姉さん1021は、公には内緒。
周辺警護はアンゼリシア達、花人隊。
2列横隊で敵を待ち受ける。
第1花人隊。前衛弓兵隊。
レベルはアンゼリシア36、カトレアンナ31。
アザレリーナ30、バーべネリア28、ゼラニア28。
反転して植物魔法、ツタを剣と盾に変えて前衛役。
続く第2花人隊、長弓部隊。
レベルはベゴニエッタ33、ポインセティナ32、
アンスリーヌ30、ルピリエッテ29。
マーガレッタ25、ラベンダリア24。
第1花人隊の後ろから、弓矢を射掛ける。
後方、6時方向から来ているのはトロールか。
第1銃士隊、弩兵隊、敵が片付いた様子。
第2銃士隊、弓兵隊、花人隊は撤退に掛かろう。
足止めよりも撤退優先。追いつかれない様に。
第1銃士隊には俺、トゥーリカ。
弩兵隊にはサンドラとデルフィアンヌが向かう。
合流して攻撃中止。加速・隠密魔法を掛ける。
ユッタ達は俺に続け。弩兵隊はサンドラ達と所定の場所へ。
主軍の撤退に調子付いて、トロールの戦列が追いすがる。
その斜め後方に回り込んで、第1銃士隊、弩兵隊で撃つ。
釣り野伏だ。主軍も反転させ、トロールを包囲殲滅する。
この所、順調。とはいえ油断無く、だ。
武器が通用している、という前提。
それと各個撃破というスタンスが効いている。
これが崩れれば、途端に持たなくなる。
索敵の徹底と鍛錬、新武器なんかも考えないと。
未だ魔人クラスと当たれば、敗走しか選択肢が無い。
再び部隊を纏め上げ、進軍再開。
未だ道半ば。こんな所で怪我するなよ?
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