〜Piercing the Sky/ACfA別解 Phase7〜
AF【カブラカン】との戦いから、数日後。
今度の依頼主はトーラス。
インテリオル側だ。
あんまりGA側に寄ると、
他からの仕事が遣り難くなる。
だから、他の企業の依頼も受けて、
バランスを取るワケだ。
つっても、オーメル側には、ちょいと心象が悪い。
友軍アルゼブラのAFを潰したモンで、な。
無理に繋ぎを取っても、
僚機に背中を撃たれたら堪らん。
もうちょいホトボリが冷めるのを待とう。
それに、インテリオルなら、
ロイ・ザーランドの口利きもある。
あいつがウィン・Dのケツを追い回してるのも、
よしんば無駄じゃ無ぇってワケだ。
さて、今日の仕事は、
作戦区画、ギア・トンネル。
およそ半円筒状の空洞が、
複雑に分岐と合流を繰り返している、
そんな場所だ。
ここに配置されているのが、
大出力のエネルギー砲を搭載した、
プロキオンとか言う砲台。
こいつを潰して回る。
直進は避け、回り込んで倒せ、
って言うのが元々の作戦。
だが、俺は構わず直進する。
実の所、他の依頼があってな。
自機、直進。前方で光が見える。
来たな。プロキオンの砲撃だ。
自機、バックユニット起動。
まずは右肩の装備。
板状の部品が外れて、浮遊飛行。
自機の前に展開する。
自律兵器ならぬ、
自律防壁ってワケだ。
なるほど、盾を手に持たすのとは違うから、
射撃の邪魔にならん。
右肩の盾を使って防ぎながら、
右手の銃を撃てる。
そう、抱えている2つ目の依頼は、
試作パーツの実戦テスト。
盾の飛行機関を作ったクーガーと、
あとは、メガネ女個人からも小銭が出る。
さて、当の自律防壁だが、
まずは一撃目を防御。
…結構な衝撃が来た。
何とか防いだが、
盾の表面にヒビが入る。
少し待って、二撃目……
更に衝撃。損傷拡大。
ちょいとヤバいか?
盾が壊れて、
そのまま直撃じゃあ、マヌケだ。
自機は盾で砲撃を受けつつ、
進路を横に捻る。
と、案の定。自律防壁、崩壊。
相手の出力が強過ぎるか。
だがまぁ、2発は防いだんだ。
大出力のレーザー砲を、2発。
試作品としちゃあ、上々だろう。
もう、次弾は撃たせない。
クイックブーストで取り付いて、
プロキオン破壊。
と、今度は敵ノーマル部隊が接近。
次、左肩の……同じく自律防壁。
さっきのとは構造が違う。
先に使ったのが実弾のシールドなら、
こっちはエネルギー系のシールドだ。
電磁場を作り出して、
レーザー兵器の軌道を捻じ曲げるらしい。
敵のエネルギー銃器を、
この防壁で防ぎつつ、
実弾、ミサイルは避けて…
…ぁあ?
実弾も曲がるぜ、コレ。
コレだけで完全回避とはいかないが、
少なくとも、敵の弾道が外側にズレる。
こいつは避け易い。
自機は機動性重視のアセンブルだ。
俺は実シールドより、こっちだな。
さて、 耐久力テストは一応完了。
アサルトライフルの鉛弾をブチ込んで、
目前のノーマル部隊を殲滅する。
後は、まぁ、残ってる盾も利用しつつ、
トーラスの依頼を片付けるとしよう。
と……まだ何か居る。
レーダーに感。大型だ。
ウルスラグナとか言ったか。
GAEとアクアビットが開発した機動兵器。
その巨体は、
狭いトンネルをミッチリ塞いでやがる。
そして避けるスペースの乏しいトンネルの中で、
これまた強力な砲撃を見舞ってくる。
こんなモン、
全部相手にしてられるか。
当初の予定じゃ、プロキオンの射線を避ける。
つまり、ウルスラグナと戦うコースになる。
が、俺は逆だ。
進行コース変更。
ウルスラグナを避けて、
次のプロキオンを目指す。
あくまでも無理はしない。
粗製が気張ったって仕方無ぇって事さ。
「あれ? そっち行くんだ」
「ぁあ? 仕方無ぇだろ。
塞いでるのが邪魔だ」
「防げば大丈夫じゃない?」
「プロキオンだってまだ残ってる。
盾の残数と耐久性を考えると、
余計な寄り道は無しだ。さっさと」
いや、待て。
俺はさっきから誰と喋って……
振り返るとコクピットの中に、
例のメガネ女が居た。
「って、おま、
何で乗ッッ!?」
『どうしました、リンクス。
トラブルが?』
俺の慌てた声に、
トーラスのオペレーターが聞いてくる。
メガネ女は両手を合わせて、
俺に向かって“お願い”のポーズ。
……誤魔化せってか。
まぁ、確かに、トーラスの仕事で、
GA側・クーガーの人間乗せてちゃ、具合が悪い。
それはまぁ、そうなんだが…
…ったくよー。
「いや、作戦に支障は無ぇ。
ちょっと足つっただけだ」
『負傷ですか?
医療班を待機させましょうか』
俺は専属のオペレーターを持たないんで、
依頼元のトーラスから借りたんだが、
このオペレーター。
クソ真面目なのか、それとも、
分かってボケかましやがったのか?
どっちにせよ、一癖ありそうだな。
「何言ってやがる。
足つったぐらいで担架で運ばれたら、
滅茶苦茶カッコ悪いだろ。
大丈夫だ、大丈夫」
と、誤魔化す間、
メガネ女は筆談を試みる。
視覚をコクピットとAMS、
意識を切り替えるのも大変なんだが……
奴が言う事には、
自律防壁の誘導に関して、
調整が必要かも知れない、と。
必要なトコが分かったら、
その場でやっちまおうって事か。
あは、未完成のパーツを押し付けた手前、
死ぬ時は責任取って、
一緒に死んでやるんだとか。
まぁ、こっちの方が、
半分ぐらい冗談だろうが。
……何にしても、お荷物だ。
「余計な回避行動して、
変に酔うってのも御免だな。
ゲロ塗れになる前に、
さっさと片付けるってか?」
俺はメガネ女に迷惑そうな表情を向けながら、
トーラスに聞かれてもいい様にと、
独り言みたいに言う。
『体調でも悪いので?
医療班を呼ばなくて大丈夫ですか?
そんな調子では……』
と、トーラスの。
俺の脇でヘコヘコ謝るのはメガネ女。
「ま、やり様は幾らでもある、さ」
メガネ女にはエスコート代、
追加報酬でもせびるとしよう。
自機、進行再開。
依頼人搬送中につき、
ブーストは控え目に、な。