Burn Away! 第2焦 第1話
〜Burn the BeastC〜


 首を傾げる私。
 すると、その白い女の人は、親切に説明してくれます。

 ちょっと怖いけど、優しい人みたい?

「ふふん、説明しよう。改造人間とは。
 高度な改造手術により、超能力。
 あるいは、動物の強靭さを付加された。
 人類よりも遥かに強力な、新しい人類なのだ!」

 ……えっと? カイゾー?
 チョーノーリョク?

「むむ!? 貴様、よく分からんと顔に書いてある。
 私の説明が良くなかったか?
 いや、そうか。この世界の文化レベルだ。
 手術といわれてもピンと来ないか」

 シュジュツ? って、お医者さんの?
 それは何となく分かりましたが……
 女の人は私の反応を待たず、話を進めます。

「手術というのは、外科的な手法によって人の身体を……
 いっ、いや、待て待て!
 手術が分からんのでは、外科も分からんよな!?
 ああ、うう。コレは困った」

 ……あの?

「おお。もしや人類淘汰機関というのも、分かり難かったか?
 人類で、淘汰で、機関だ。それぞれの意味を繋げると……
 えー、どこまで噛み砕いて話をしたものか」

 関を切った様に、スラスラペラペラ。
 お淑やかそうに見えたのに、凄いお喋りさんでした。

 その説明してくれるのはいいのですが。
 私には、どれも難しくて……

 でも、チョーノーリョク?
 お兄ちゃんの魔法。
 お兄ちゃんは、そんな風に呼んでいた気がします。

 じゃあ、この人達、もしかして。
 お兄ちゃんと同じ世界から来た……?


 そんな時、お兄ちゃんが近くへ飛ばされてきました。
 獣人達に追い詰められているみたい。

 彼は私の隣、白いお姉さんに気がついて、

「あっ! リリーに手を出……す、な……?」

 お兄ちゃん、様子が変です。
 叫びかけたのですが、途中で止めて……ポツリと、

「……白雪?」
「その名で呼ぶなッ!」

 女の人は、ビシッ!
 何も無い所に、横向きにチョップしました。

 やっていて自分でも変だと思ったのか、首を傾げます。

「貴様、何故その呼び名を?
 ああ、いや、それよりも剣を捨てろ。
 人質を取るなど、あまり趣味では無いが……」

「くっ……」

 お兄ちゃんは剣を手放します。

「甘いぞ! 隙あり!」
「貰ったぁ!!」

 と、その隙を狙って、獣人達。
 左右から、お兄ちゃんに飛び掛りました。

 お兄ちゃんは反射的に手をかざし、炎の壁を作ります。

「ぐわっ! あぢぢぢぢ!」
「ぎゃーっ! 俺の毛皮がああああ!」

 炎に巻かれた獣人達。
 ゴロゴロ転がって、火を消そうとします。

「こら! 抵抗するなと!」
「すまない! ついうっかり……」

「テメェ、もう許さねぇええ!」

「抵抗するんじゃない!
 娘がどうなってもいいのか!」

「案ずるな。
 苦しまぬ様、一息で殺してやるわ!」

 えーと……

 白いお姉さんと獣人達。
 仲間な様でいて、要求がバラバラです。

 降伏させるけど殺すって?

「話が無茶苦茶だ!
 降伏はともかく、殺されるのはご免だぞ!」

 お兄ちゃんはベルトの……
 へんしんぼたん?を押します。

 すると、どこからともなく。
 黒騎士の鎧が現れて、お兄ちゃんの身を包みました。

 お兄ちゃんは、カラクリの一種だって言ってました。
 でも、やっぱり魔法みたいに見えます。

 そして、その姿を見て、獣人達は動揺しました。

「わ、わわ! 貴方様は!」

「何と、ご無事で……
 とっととととんだご無礼を!」

 白いお姉さんも動揺します。

「なっ、なん……何だと!?
 貴様、ブラック・インフェルノ!」

「何だ、今まで気がついてなかったのか」

「……の、お化け!!? ぎゃあああっ!!
 く、くくっ、来るなああああッ!!」

「誰がお化けだ!
 私は死んでいない」

「えっ、な、何!?
 貴様、死んだのでは、なかったというのか!?」

「く・ど・い!」

 えーと……

 とにかく獣人や女の人。
 お兄ちゃんの知り合いみたいです。

 でも、賊をやっていて?
 どういう事なんだろう。


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