Burn Away!
第2焦 第3話
〜Burn the FrostB〜
「居たぞ!」
「逃がすなぁーッ!」
「チィッ、見つかった!
全員、急げッ!」
逃げる私達。
追いかける騎士団。
双方、転がる様に坂道を駆け下ります。
「ここは通さん!」
回り込まれた!
前方にも騎士、3人!
クライオさんは跳躍。
1人目の剣、横薙ぎの斬撃を上に回避。
そのまま相手の肩を蹴って、向こう側へ飛びます。
それに気を取られた所を、シャドウさんが攻撃。
上腕を顔面に激突させ、騎士は昏倒。
飛んだクライオさんは、そのまま宙返り、
氷の魔法で細身の剣を作り出しながら、敵の上へ。
体重を掛け、その剣を、2人目の肩に深々と刺します。
倒れる2人目。
剣を手放し、後方への宙返りで飛ぶクライオさん。
その間を縫って、ベノムさんのサーベルが煌めきます。
3人目の喉を目掛けて一閃。
斬られた騎士は、喉から血を吹いて倒れました。
……次、4人!
「はああっ!」
クライオさん、地面に手を着きます。
前へ滑りながら、地面から氷の槍を出しました。
氷の槍は、騎士を1人串刺しにします。
その槍の中腹を蹴って飛ぶ、ベノムさんとシャドウさん。
ベノムさんは、相手の剣を剣で押さえながら、鋭い牙。
相手の首に噛み付きます。
シャドウさんはフットワークで翻弄。
巧みに回避して、相手の懐へ。
大きく回転しながら、騎士のお腹を蹴って転倒させました。
蹴られた相手は頭を打って、動けなくなったみたい。
これで……残り、1人!
と、体勢を立て直したクライオさん。
氷をナイフの様にして投げます。
氷のナイフ速く鋭く飛び、鎧を簡単に貫通。
そして、倒れる騎士を尻目に、尚も疾走。
疾走しつつ、クライオさんは叫びます。
「止まるな! 走れ!」
凄い手際、凄いスピードです。
足止めが足止めになりません。
追いかけるのが大変……
「クライオッ!」
お兄ちゃん!?
左斜面から、雪崩れ込んで来た一団の中。
お兄ちゃんの姿がありました。
見ると、お兄ちゃん、複雑そうな顔。
戦いたくないけれど、見張られてて。
だから戦わないといけないみたいな……
でも、クライオさんは、私達の前に立ちます。
お兄ちゃんを迎え撃ちます。
「皆まで言うな! 本気で来いッ!」
「……うおおおおッ!!」
互いに手をかざし合う2人。
炎と氷が……
……あれ? 何も出ない?
「ぎゃああああっ!」
突然、お兄ちゃんの後ろの騎士達が、凍り始めました。
私達の後ろから来た騎士達が、燃え始めました。
2人の力が、打ち消し合ってる!?
「私からあまり離れるな!
燃えるか凍るぞッ!」
叫ぶクライオさん。
打ち消し合ってる中では、普通に動けます。
私達も、敵の騎士達も。
打ち消し合うのは正面。
危険なのは、お兄ちゃんとクライオさんの後方。
と、効果の無い、私達の左右から敵!
獣人さん達やサウザントさん達が、迫る敵を迎撃します。
でも、騎士達は、どんどん集まって来て……
これじゃ囲まれちゃう!
クライオさんは動けない。
獣人さん達も、サウザントさん達も。
……私が何とかしなきゃ!
「こ、こっ……この、分からず屋ーっ!」
私は走りました。
お兄ちゃんに向かって。
そして軽くステップを踏んで、回転キック。
本当は、お腹を蹴ろうとしたのです。
さっきのシャドウさんみたいに。
でも私、身長が足りなくて。
私のキックは、お兄ちゃんのお股に直撃してしまいました。
凄く痛そうな顔をして、前のめりになる、お兄ちゃん。
呻いています。
「ぐっ、う、うおぉう……」
「わ、わわっ!
ごごごごめんなさいっっ!!」
「いや! でかしたッ!」
「お嬢さん、グッジョブ!
ナイスギャグ!」
お兄ちゃんに謝る私。
褒めてくれる、クライオさんとシャドウさん。
でも、ギャグて。
本当に、狙ったワケじゃないんですけど。
……と、とにかく脱出です。
動けなくなったお兄ちゃんを置き去りにして。
私達はまた、山の斜面を駆け下ります。
町までは、あと少し……
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