〜暴君と侍女の物語G〜
王子たちが秘宝をそろえた所から。
お城までは、
急げば3日の道のりでした。
しかし、王子は、
疲れたという侍女を気遣って。
7日を掛けて進みます。
「お前を急がせるつもりは無いが。
せめて秘宝を手に入れた事だけでも。
父上にお知らせしたいものだな」
「では、お手紙など出されましては」
2人は使者を雇って、
手紙を持たせました。
手紙は2通。
1通は、王子から王様に。
もう1通は、侍女から騎士団長に。
侍女は、信頼できる
騎士団長と連絡を取ります。
お城の状況を探りたいのでした。
お城で待ち構える王子暗殺の罠。
それにどうにか立ち向かわなければ。
それも、出来る事ならば。
王様の期待に
応えようとしている王子には。
彼を王様が殺そうとしているとは、
どうにか知られずに……
侍女は夜、王子が寝てしまうと。
こっそりと宿を抜け出して、
お城の情報を集めます。
「お城の事かい?
ここらじゃサッパリ聞かないねぇ」
「お城だって?
お城で何かあるのかい?」
お城から遠い町々では。
その状況を知る者は居ませんでした。
ですが、お城に近づくにつれて。
少しずつ情報が集まります。
「お城って言やぁ、
今度パレードをやるってね」
「お城で? あー、聞いた聞いた。
何でも王様が変わるんだって」
「お城で、お祝いをするんだよ。
新しい王様、バンザーイ!」
「お城に、新しい王様が……
ん? 誰かって?
決まってるじゃないか。
頭が良くてお優しい、
弟の王子様の方だよ!」
聞けば、どうやら王様と大臣。
王子が居ない間にと。
弟王子の方を、
王座に即けようとしている様です。
「ああ、何という事。
これでは生き残れたとしても、
我が主が救われません。
かくなる上は、
たとえ刺し違えてでも。
この手で弟殿下を暗殺し、
我が主を王座に……」
侍女は命を捨てる決心をすると。
宿に戻って剣を手に取り、矢の様に。
お城に向かって駆け出しました。
前へ
/トップに戻る
/次へ
|