黒鷲の旅団
10日目(4)盗賊駆除大作戦
〜救助は不完全〜

「マーガレッタ・マーガレット
 ・リヒトホーフェン。
 救助頂き、感謝感激ですー」

「ラベンダリア・ラベンダー
 ・ノイシュテッター。
 末席にお加え頂きたくー」

 救出した花人2人。
 そのままチームへ編入。
 人数が増えて来たな。
 花人隊を2つに分ける。

 花人第1小隊、隊長はアンゼリシア。
 副長をカトレアンナにする。
 以下、アザレリーナ。
 バーべネリア、ゼラニアだ。

 第2小隊は、隊長ベゴニエッタ。
 副長ポインセティナ。
 以下、アンスリーヌ、ルピリエッテ。
 新人のマーガレッタ、ラベンダリア。

 第1小隊は5人だが。
 第2小隊は新人が2人。
 合計レベルはあまり変わらない。

「ふーん、お花ちゃんの友達なのねぇ。
 私を見ても嫌そうな顔しないし。
 くすくす。大丈夫よぉ。
 取って食べたりしないわ。
 別の意味で食べちゃいたいけど。
 またの機会にしましょ」

 投げキス1つ残し。
 アラクネさんも退散。

 レーネとユッタ、サンドラ。
 ホッと一息。何やら心配していたか。
 面白がっているのはカーチャとイェンナ。

「プルンプルンしてたな! な!」
「勿体無かったとか思ってねー?」

 どこ見てんのかね、お前さんらは。
 ラミアさんの方は大丈夫か?

「だ、だいじょぶ……お腹減った……」

 それは大丈夫なのか、そうでないのか。
 オオカミ肉を与える。食べてくれた。
 じゃあ、このままにして行くから。
 あんたも気を付けてな。

 残るは人間さんが2人居るのだが。
 着衣の乱れが酷い。
 このまま連れ回すのは可哀想だ。

 通信魔法、仕立屋カーラさん。
 近くに魔女が居たら伝えて欲しいんだが。
 と、返答が来た。
 フレス派の魔女ジニーさん。
 通信を中継して貰う。
 2人分の衣類を揃えて貰う。

『なあるほどね〜。
 通信と転移魔法か』

『案外、革新的かもよー。
 はい、出来たっ』

 ジニーさんの通信魔法の映像越し。
 採寸を合わせるカーラさん。
 ゲーム補正だとしても凄腕だな。

 女性用衣類一式を受け取る。
 チュニックワンピース、レザーブーツ。
 あと、ブラとおパンツ……

「まあ。ご覧なさい、デュプレー。
 おパンツを頂いてしまいましたわ」

「おおおおお嬢様!
 その様なハシタナイ事を大きなお声で」

 ……ホントにね。

 捕虜の人間さん2人。
 ルアンヌさんは男爵令嬢。
 デュプレーさんはお付きの侍女だという。
 馬車に乗っていた所を襲撃され、捕まった。

「わたくし、さる殿方に嫁ぐ所でしたの。
 助けて頂いて感謝致しますわ」

 婚礼か……そうか。

 ルアンヌさんの診断結果、なのだが。
 状態表示の欄に『妊娠』とある。

 これを口にしたものか、とても迷う。
 言った所で、どう出来るでもない。
 親元に返して、後はどうする。
 成り行きに任せるしかないのか。

 村に近衛隊が来るという事だった。
 2人は村まで護衛。
 近衛隊経由で連絡をつけて貰おう。
 何だか気疲れしてしまった。
 が、まだ1つ仕事が残っている。

 盗賊のアジトに解毒魔法を投下。
 風と撹拌、浄化魔法を併用。
 空調魔法が派生してしまった。
 また地味だな……

 解毒が済んだら、洞窟に再突入。
 回収出来る物を回収。
 が、多過ぎる。
 一度、転移魔法で外へ放り出そう。

「うわ、すげぇー」
「金銀財宝、だね」
「どっから集めて来るんだろ」
「村とか?」
「あの村は無いでしょ」

 盗賊の遺産。鑑定。
 ザックリ数百万相当。
 利益に、という考えも浮かぶんだが。
 ここは村に寄贈する。
 その上で正当な報酬を貰おう。

「えー、勿体無いよぉー。
 イェンナも何とか言ってやりなよ」

「あたしは、もう盗賊は辞めたんだ。
 おっちゃんの判断に任せるよ。
 そりゃまぁ、勿体無いとは思うけど」

 渋るカーチャをイェンナが宥めて。
 他の子は……異論は無いかな。

 あとは財宝を持ち帰るとして。
 どう持ち帰る?

「あ、じゃあ、こんなのどうかな」

 マルカの提案。
 村の教会に転送する事にした。
 手柄を知らせておいて貰う。
 帰りを歓迎して来るか分からんが。
 村人の反応が変わる所が見たいらしい。

 マイナさんに通信、財宝を譲渡。
 転移魔法センドストレージで教会へ送る。

 これで村も潤うと良いが……どうかな。



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