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黒鷲の旅団
14日目(1)残骸からの再起
『相談が……あの。
リータちゃんとラケルちゃんの事で』
起き抜け、フレスさんから通信。
魔女協会、診療所へ。
落ち込んだ様子のシャンタル。
泣いているリータ。
ラケルはポケーっとしているが。
リータは身体的損傷。
ラケルは精神的疾患により。
排便がコントロール出来ない。
何度も漏らす。念入りに診断して発覚。
これまで酷い虐待を受けていた結果か。
治療経験が豊富なシャンタルでも。
人の悪意で満ちた物。
それも、被害者が小さい子供。
遣る瀬無い気持ちになるのも分かる。
リータの損傷。
形成外科魔法も試したが無効。
長く損傷状態が続くと戻せなくなる?
その状態が平常である。
その様に固着されてしまうというか。
俺やルーシャ、マイナさんの義肢同様。
欠損修復に希望があるとすれば。
例えば移植外科魔法。
しかし移植って、どこからだ。
都合の良い死体なんて、あれば良いが。
そうそう転がっていないだろう。
生きてた人間から貰うワケにも行くまい。
ラケルの精神疾患。
こちらも対処法が思いつかない。
現状、2人のお漏らしを止める手段が無い。
「ごめんなさい!
何でもします!
追い出さないで!」
経験浅い、若い魔女も居る。
中には汚いのを嫌がる声もあるらしく。
リータは心配している。
追い出されるんじゃないかと。
追い出したくはない。
が、同じ様にも扱えない、か。
住み分ける場所でもあれば良いんだが。
と、見回して1つ思い当たる。
うちの子供達が借りている旧宿舎、の脇。
物置小屋みたいなのがあったが、あれは?
「昔、庭番の爺さんを置いていた小屋だね。
男を置くのに反対もあって。
後から役職不在になったけど。
そうか……あれか。あれだね。うん」
かくして魔女達で、庭番小屋の改造に着手。
リータとラケルは連れ回さない。
魔女協会で待機して貰う。
リータは畑の収穫。
ラケルはニワトリの世話を担当。
オムツを大量に用意しておく。
汚したら自分で洗う事。
食事は3食出して……
大体そんな所に落ち着いた様だ。
レイヴン婆さんが面倒見役に立候補。
お願い出来ますか。
薬草園の世話のついてだと。
2人とも、何かあったら隠さず言う様に。
「え、あ、でも。
そんなにはご迷惑なんじゃ。
私なんか、その、奴隷で……」
自分を奴隷と言い切ってしまうのが悲しい。
リータとラケルは逃亡奴隷だという。
主人が戦乱で死んだ。
遺産相続のドサクサで逃げ出した。
その遺族は2人をどう思っているか。
醜聞とすれば、手放すだろうか。
連れ戻しに来る可能性は低いだろう。
だが、がめつく遺産だと主張する場合。
その限りではないワケで。
追手が来た場合に備えよう。
魔女協会には金を預けて行く。
身請け支度金として200万。
足りないと言うなら追加も出す。
すぐ連れて行かれる事態は避けたい。
それから、改めて。
何かあったら必ず人を頼る事。
命令、という言い方はしたくないが。
指図された方が動き易いという事はあるか。
せめて任務と言おう。
自己保全を徹底する様に。
健康でいてくれる方が負担も少ない。
農耕魔法。畑の作物を成長促進する。
トマト、ジャガイモ、カボチャ。
あとトウモロコシ畑を各1面。
全部取り切らんだろう。無理しなくて良い。
繰り返す様だが、自己保全を優先する様に。
「うう、すみません。何から何まで」
「ほれほれ、泣いてないで。
働いておくれなー」
「飯はちゃんと食えよ。
食ったか監視に来るからな」
「鶏のエサはそっちに……
ああ〜、走るな走るな」
大魔女やベテラン魔女達も甲斐甲斐しい。
2人の事、畑の事、お願いします。
それからフレスさんより特許関連報告。
浄血魔法、治癒Bクラス。
抗生、形成外科、移植外科魔法。
それぞれ治癒Aクラス。
免疫魔法、補助Aクラス。
複製魔法、生活Aクラス。
火砕魔法、攻撃Bクラス。
粉砕魔法、多目的Bクラス。
売り上げはCクラス12件。
Bクラス44件。Aクラスが41件。
炊き出しの傍ら、よく売ったものだ。
それとSクラス、燃料気化爆発魔法。
これは大魔女クラスだけ5人習得。
俺と魔女達、相互の希望から、外部公開は見送り。
魔女協会にとっては切り札になり、危険度も高い。
誰に教えるかは研究の上、厳正な審査を行いたい。
売り上げ1470万を受け取って。
残高が2600万と少々。
みんな住める家を買うには……
まだ足りないか。
当面の目標、40人収容出来るお屋敷。
これが販売価格4千万からだ。
急な出費、家以外の計画や必要経費もある。
「早く冒険行こうぜー!」
「行こう行こう!」「冒険だ!」
子供達が集まって来た。
昨日の炊き出しは精神的に疲れたのだろう。
活発でない子も身体を動かしたい様子。
そうだな。まずは準備に掛かろうか。
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