黒鷲の旅団
16日目(2)まだまだすくすく

「当たった!」
「フィリッパ、いいぞー!」

 幸い子供達は士気を持ち直した。
 接近する魔物を迎撃する。

 見晴らしのいい草原を行く。
 街道は相変わらずのモンスター満載。
 こちらに気付いて寄って来るのも少なくない。

 俺達は、街道を逸れて歩いている。ハズだ。
 街道で待ち伏せていた魔物がこちらに来る。
 草原より街道の方にモンスターが居る?
 何だろう。配置に何か悪意の様な物を感じる。

 正面から来る奴らは俺が掃除。
 街へ帰ったら補給だ。ケチらず色々試そう。

 軽機関銃CISウルティマックス100。
 突撃銃はシグSG550。
 自動小銃ラインラントアームズAR57。

 良好だが、二丁撃ちにはちょっと重い。
 強化魔法が要る。
 そのまま撃つと手首を痛めそうだ。

 しかし、重さも安定装置になる。
 切り捨てるばかりの物ではない。

 魔法付与から生まれる力場がある。
 口径を増やした様な反動を伴う。
 爆発系、特に燃料気化魔法。
 付与するなら長物が良い。
 試しにデリンジャーに付与したが。
 手首を派手に捻ってしまった。

 治癒、鎮痛魔法で処置。
 少し違和感が残る。
 捻挫に効く特化魔法が欲しい。
 欲しいけど、冷やすのか温めるべきか。
 治療の方向が纏まらない。

 俺が捻挫を治す間、アンヌが先頭を代理。
 ん?左でなく右後方から銃声。
 サンドラちゃん?
 振り返ると、アンヌ。
 サンドラに拳銃を教えている。

「サンドラが考えたのよ?」
「ま、ままま魔法、魔力の節約っ!」

 そうだ、魔力量は限られているんだ。
 加減するのも大切ではあるが。
 敵が強力だと、そうも言っていられない。
 温存、代替手段を考えておくのは有効だ。

 他の子達にも予備の武器を考えるべきか。
 剣かナイフ、あとリボルバーとか。

 ただ、主武装の鍛錬が疎かになってもな。
 急にあれこれ増やすより、1つずつ考えよう。

 となると、まずはナイフかな。
 体術、受け身なんかと併せて指導して……

 ズキュン。ユッタの銃声に我に返る。
 先の事を考えている場合じゃない。
 まずは目先の敵を掃討しよう。

 ふと、リザードマン。ライナスだったか。
 呼び掛けられる。
 出番が無さ過ぎるので矢面に出たい?

 進軍停止。陣形を変更します。
 新人部隊、銃士隊2つが前面で2列横隊。
 弓弩隊と花人隊は2列縦隊で左右へ。

「ユッタ、同じトコじゃなくて両目狙えよー」
「え、あっ、そうか!」

 左翼に第1銃士隊。
 隊長ユッタは真面目ちゃん。
 精度を高めようと一点集中してしまう。

 隊長にズケズケ意見を言えるイェンナ。
 言われれば素直に聞くユッタ。
 指揮系統、運用としては上手く回っている。

 カリマは……悩み中か?
 参謀としては少し伸び悩んでいる感。
 なかなか提案を出すチャンスが無い。

 アンヌとサンドラに中央を少し任せる。
 俺はカリマの後ろについて助け舟を出す。

 索敵。カーチャ、次は何が来そう?
 武装トロールの群れ。数は5。
 カリマ、トロールさんには何が効くかな。

「あっ、はい!
 炎と雷はイマイチでー。
 神聖? あっ、神聖魔法!」

 そう、神聖系。
 あとは阻害魔法が有効なぐらい。
 連中は皮が厚い。
 嫌いな神聖以外はダメージが増え難い。

 横で聞いていたノイエ。
 察し良く神聖魔法で攻撃。
 こう、みんなも知ってるとは思うんだが。
 誰かが言ってくれるのを聞く。
 その分、考えなくて良くなるからな。
 カリマ、まずは声を出してみよう。

 ルーシャは序列最後尾とでも心得ているのか。
 他5人が攻撃して残った所を撃っている。
 目が合った所、右手の親指を立てる。
 任せろといった顔。
 みんなの後ろを守るスナイパー。
 頼りにしてるよ。

 大丈夫そうなので中央に戻る。
 反対側、右翼の第2銃士隊はどうか。

「キマイラのヤギが詠唱してる!
 ああ、くそ、避けるな!」

「ヤギ! 隊長、ヤギさん撃てる!?」

 ヘルヴィは判断が鋭い。
 参謀向きかも知れない。
 ヘレヴィも似た適正。
 どっちが斥候役か悩むのだが。
 すぐ繋ぎに入るフィリッパ。
 彼女が副長というのはアリだな。

 ジルケも熱中しがち。
 周りが見えなくなり易い様子。
 ただ、彼女の闘志と牽引力は隊長向きだ。
 上手くカバーし合える。
 良いチームになれる。

 ローダとテクラは出向組。
 射撃は優秀だが。
 役職を与えるかは保留にしておく。

 不意にアンヌに背中を叩かれる。
 振り返ると、ずらずらり。
 慌てて側面に顔を向ける弓弩隊。
 ああ、自分達も見て欲しいのだろうか。
 あとで隊列を変更しよう。

 みんな、まだ伸びる。
 才能も伸び代も充分だ。

 やがて火竜の討伐跡地へ到着。
 骨も皮も希少素材らしい。
 ほとんど解体済み。
 加工の難しい頭骨だけが威容を残している。

 公主達の姿もある。
 昨夜は野営したかな。
 こちらに気付いて全員下馬。
 騎士団が膝を付いて……ん、公主まで?



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