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黒鷲の旅団
16日目(5)特許のオバケ?
「いえーい、到着〜」
「余裕だったな」
首都東門。ティルアとフレヤ。
まだまだ元気だな。
子供達は小隊単位で先に行かせる。
母に会いたいマリナ。
女将が気になるイェンナ。
ジルケも東下層区の教会に父親と姉が居る。
それぞれ顔見せしつつだ。
街の様子を見て来て欲しい。
一段落したら、女将の酒場で昼食だ。
傭兵という名目で同行した魔人姉妹。
雇用、護衛任務はここで終了とする。
昨日の分の報酬。
追加で10万ずつ支払おう。
贅沢品は難しいと思うが。
飲み食いぐらいなら困らんだろう。
「あ、あのっ、これ……」
エンヌが片手剣を取り出す。
ズィルバーレルヒェ。
アダマンタイト製片手剣。
いや、返さなくて良い。
持ってなさい。
公主にも言った事だ。
友好の証と思ってくれれば。
これは情のみならず。
打算もあっての話だ。
万が一、子供達が捕虜に取られたら。
なるべく無事に帰して貰う口実。
多い方が良いだろう。
エンヌは納得半分ぐらいで。
しかし鞘を腰に戻してくれた。
魔人姉妹はアンヌが観光案内をする様で。
しかし昼食には合流するという。
まあ、後でな。
ハミルトン爺さんはジュス姉さんと自宅へ。
早速ちょっと触ってみたいか。
アダマンタイトのインゴット。
丸投げ同然に任せる。
自由にやってみてくれ。
残ったのはサンドラと。
トゥーリカ、マイナさん。
あと、モンスター気味の新人従者達。
あれ、コロボックルさん達が居ない。
爺さんの馬車に乗ったままだったか?
ジュス姉さんに通信魔法……
やっぱり居るのか。
後で使い魔の証を渡すと伝えてくれ。
これが無いと悪い人間に攫われるかも。
『分かった。お昼の時にでも連れてくよ。
そっちから通信くれて良かった。
端っこに隠れてた。
1人泣きそうになってたよ』
おいおい、大丈夫か……
決意して出稼ぎに来たといっても。
人間の国。未知の世界。
小人さん達には恐怖体験ツアーだろう。
賑やかな通りなんか騒音の渦だ。
取り扱いには注意してやらないと。
少しして、迎えの魔女達が到着。
フレスさんと、ヘリヤ、シャンタル。
「あ、あら? 小人さんは……」
フレスさんキョロキョロ。
ああ、すまん。
何か興味があっただろうか。
小人さんは入れ違いになってしまった。
「そ、そうでしたか……コホン。
それでは、まずは特許の件ですが。
聞いて下さい。快挙ですよ?」
まず熱風魔法、攻撃Bクラス。
洗浄魔法、生活B。
温風魔法、生活C。
耐電魔法、補助C。
防毒魔法、補助B。
共鳴振動魔法。多目的Aクラス。
刻印魔法。多目的Bクラス。
水脈魔法。多目的Aクラス。
で、温泉魔法が……生活Sクラスだと?
生活魔法にS級という評価を下す。
攻撃力、破壊力だけが魔法じゃない、か。
大陸魔法機関とやら。
なかなか良い趣味をしている。
温泉魔法。
特に危険性が無い魔法ではあるが。
消費がデカい。
一般人が使うとぶっ倒れる。
一般公開するとして。
魔力量の審査は行って欲しい。
ついでに?今回下賜された。
称号『施療卿』。
治癒系魔法に補正が掛かるのは良いだが。
何だか歩く診療所みたいな称号だな。
続いて特許料、売り上げ。
S級、燃料気化爆発魔法。
これについては売上無し。
神人から数件、開示要求があったらしいが。
大魔女達により審査で突っ撥ねてくれた。
S級攻撃魔法。危険魔法だ。
唯人を駒としか思わん奴には渡せない。
競合先の魔術師ギルドなどに流れても困る。
そんなワケで、売り上げはA〜C級。
A級77件、B級122件、C級16件。
売上総額が2840万。
手持ちが8997万と……えーと?
簡単に言って、9千万弱になっとる。
「増えたねー。特許の数から凄いからね。
もう特許のオバケだね」
繰り返し頷くシャンタル。
あんまり褒めてないぞ、それ。
特許が多い。
言ってみれば、隙間産業みたいなモンだ。
神人が普通に戦ったら、まず使わない。
ニッチな魔法の数々。
特に複合属性の攻撃魔法。
威力に対して消費がデカい。
解析などで弱点属性が分かる場合。
単属性で撃った方が効率が良いのだろう。
だから、炎魔法の上はもっと強い炎魔法。
わざわざ熱風だの派生させて来なかった。
効果的な化学反応が出来れば別だろう。
良い例が燃料気化爆発魔法。低燃費。
悪い例は……アレかなあ。
今回の特許申請。
爆縮、衝撃波、瞬間風化、崩壊。
電磁加速、培養と……意見を聞きたい。
これ、どうしたら良いと思う?
ウインドウ展開。
縮退魔法、の表示を見て貰う。
消費魔力がデカ過ぎる。
申請しようにも実演出来ないんだ。
ぶっ放したら命を持って行かれる。
魔女達は顔を見合わせる。
やっぱり、何かヤバい系か?
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