黒鷲の旅団
16日目(7)ただいまパーティ
「あっ、ご主人様!」
「ごしゅぢたまー!」
酒場へ戻る前、魔女協会へ。
出迎えてくれたのはリータとラケル。元気そうだ。
元気そうなのは良いが、ご主人様というのは止められないか。
もう奴隷じゃない。大事なうちの子なんだから。
他の子みたいに『お兄さん』『パパさん』『おじさま』とか。
まあ『おじさま』でも大概照れ臭いんだが。
「でもそんな、恐れ多いです……」
リータもじもじ。急には無理か。
まあ、段々にでも意識してみてくれ。
「ぱー?」
ラケル……パーではなくて。
サンドラ達と合流。魔物従者達の引率を再開。
リータやラケルの手を引いて、手すきの魔女達にも声を掛ける。
夜は城で叙勲式とパーティ、という予定なのだが。
オムツ着用・要介護状態のリータとラケル。
それにラミアやリザードマンといった魔物従者達。
俺達が良くても、貴族連中は受け入れられないだろう。
いつか必ず連れて行くが、今日は留守番して欲しい。
で、夕食に連れて行けないので、昼食だ。
東区の酒場で豪華昼食、帰還祝いのパーティとしよう。
「これで良し、と……やあ、お帰り」
酒場に着くとウェルベックの姿。
ルーシャの義肢をメンテしていた。
やっぱり専門家に見て貰った方が安心だな。
半壊した時は、足りなくなった部品だけ爺さんが作って。
あとは自分で組み立てていた才媛ルーシャ。
しかし、いつでも爺さん同伴というワケにも行かず。
予備を作っておいて貰う、というのはアリか。
「よーう、大将。どっか行ってたって?」
ランカーがローダ、テクラと来訪。
街を回る途中で見掛けて、連れて来たらしい。
会いに来て良いとか言った割りに、留守にしててスマン。
最近ギャンブルには? 行っちゃったか。
子供達が居ないので気が緩んだ様だ。
しかし、借金には至っていないという。
彼なりに自制しようと頑張っている。
引き続き経過を見よう。
他の子達は……もう料理に掛かっているか。
宴会資金は30万。好きに飲み食いしてくれ。
食材はこちらでも提供する。
タダ飯・タダ酒を聞きつけたのだろう。
少しして、幾つかパーティが集まって来た。
これを機に少し情報交換をする。
ガイゼル隊、近況は主に怪物退治を行っている。
街道の魔物は徐々に数を減らしているらしい。
ランカーはガイゼル隊にしばしば同行している様だ。
ギャンブル癖からか、神人パーティから敬遠されがち。
ガイゼルの方から心配してくれたのだと。
グレッグ達、暗殺教団所属より。
ダニエルのチーム、今の所は目立った動きは無し。
ただ、カリオンの家族から信頼を得つつある?
息子が悪い仲間と組んでいるのを心配している様だ。
気に掛けてくれる人が居て云々。
あと、ヘルヴィ・ヘレヴィの古巣から連絡あり。
近況について聞かれたらしい。
戦力的には優秀だから、制御出来るなら戻って欲しいのか。
もううちの子です。返しません。
クレールヒェンは爺さんの馬車について行ったのだが。
無事に叔父と合流出来たらしい。
で、その叔父が……バルタザール。
いつぞやの、銃器を扱っている闇商人だった。
妙な所で縁が繋がったな。
補給物資、弾薬パックの手配を依頼しておく。
店にはまた立ち寄らせて貰おう。
イェルマイン達、騎兵チームが到着。
サナトス達も一緒。ステラさん達も騎兵になっていた。
今日、丁度買ったとかで、馬商人の所で合流したらしい。
イェルマグ隊は援護射撃で火竜討伐に参加。
サナトス達もバティスタン軍の討伐には参加していた。
俺と同じく叙勲式に呼ばれている。
で、既にサナトスだけ領地を貰っているとか。
イーディス公主に気に入られているから、優遇だな。
領地……領地経営。家とか。
そうだ。家って買ったのか?
「何だ、お前も家買うか?」
「旦那もいよいよ持ち家デビューっすな」
サナトスとにイェルマイン。気が早い。
まだこれと決めたワケじゃなくてだな。
「えっ、お家? お家買うの?」
「お家だって! フェドラちゃーん!」
「ええっ、お家! ノイエちゃーん!」
子供達が聞き付けて、広まってしまった。
これはもう、買わざるを得ない雰囲気だ。
ああ、うん……詳しく聞こうか。
幸いにして、予算は8千万ちょっとある。
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