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16日目(8)黒鷲さん家を買う

「はい、ではまず、購入方法からですね」

 神人の持ち家システムについて。
 マグダレーナから教えてくれる事になった。

 イェルマインも立候補してくれたのだが。
 子供達の信用の差か、全体からマグダレーナ押しに。
 イェロマインおじさん、ちょっとションボリ。
 でも仕方ない。普段がイェロマインだから。

 ラミア達の胸見てウヒョーとか言ってるから悪い。
 教育によろしくないので、余ってる服着せて隠したけど。
 一緒に鼻の下を伸ばしていたエリック少年達の先行きが心配。

 さて、気を取り直して、購入。屋敷の購入だ。
 一般家屋だと10人程度しか入らない。
 城じゃ予算が足りないし、砦なんかだと狭い。

 屋敷、と一言で言っても種類があるらしく。
 外見の違い。あとは収容人数だな。
 収容可能人数と価格が比例している感。

 俺達の人数だが。俺、サンドラ、マイナさん。
 トゥーリカや小人達は机にカゴ置いて代用出来るのだが。
 弓弩・銃士隊で24人。花人隊が12人。
 その他、新規の魔物従者隊が9人。
 アンヌの下宿先としても一部屋貸したい。

 だから……最低でも50人は収容したいワケだ。
 最小の屋敷、40人タイプだと小さいな。

 屋敷の形態が幾つかある。
 真上から見て正方形、横長、コの字型。
 屋根の色なんかはまあ、後から塗れば良いだろう。

 子供達にもウインドウを見せる。
 どんなのが良いだろうか。

「でっかいのが良いよ、でっかいの!」

 繰り返し、でっかいのが良いとトゥーリカ。
 他の子も揃って頷き、異論は無い様子。
 買える中で一番でっかい屋敷を買おうか。

 横長タイプ。8千万。収容可能人数は80人。
 数パーティ泊りに来ても大丈夫レベル。
 面積で比べて、これが一番広かった。

 購入する。ウインドウのボタンをぽちっと。
 ぽちっと押して『購入しました』の表示。
 購入しましたが……どこにあるんだ、これ。

「はい、では次はこちらへ。
 唯人さんも神人さんも、入り方は一緒です。
 覚えてくださいねー」

 引率のマグダレーナ先生、先導。

 神人の住居は別空間に設置される、らしい。
 で、街の門や大通りにある道標から出入りするのだと。
 他人の家に行く場合、アドレスやパスワードが必要。
 俺達の場合、自宅。単に自宅と指定すれば入れる様だ。

 子供達を連れて、手近な道標へ。転移機能を起動。
 転移すると確かに、そこには購入した屋敷が建っていた。

「でっけぇー!」「探検しようぜ!」
「こっここここすっすす住んすんのの!?」

 イェンナ、マルカが走って行く。
 ペトリナ興奮し過ぎ。落ち着いて。

 夜はお城で叙勲式。子供達も連れて来る様に言われている。
 ちょっと着の身・着のままというワケには行かない。
 支度に時間を割きたいので、本格的な引っ越しは明日にしよう。

 でも、見たいかと言えば見たいだろう。
 1時間ぐらいしたら呼ぶから、集合してくれ。
 それまでは自由時間とする。

 俺は購入時に転送されて来た内部資料を閲覧。
 地図部分を見つけた。マグダレーナと確認してみる。

 トイレが複数。厨房と大きな食堂がある。
 あと、謁見の間。何だ、謁見って。領主仕様だな。
 ご主人と奥様の豪華寝室、ってのは固定なのか?

 住居の外の敷地は、好きに使って良いらしい。
 庭とか工房とか、畑を作って自家栽培とか。
 牧場、醸造所を作っている神人も居るだとか。

 システム的な空きスペースとしては3×3。
 あとから拡張も出来るらしいが、安くはない。
 考えて使わないと……醸造所とか。

 とりあえず、花人達の為に農地と果樹園が欲しい。
 これは自分で耕せば良いのだろうか。

「ウインドウでも買えますよ。
 お高いですけど、形は勝手に整えてくれます。
 あとは、唯人さんの業者を雇って委託するとか」

 業者を探して雇うのが市民の為になるんだろうけれど。
 初回だし時間も無い。基礎工事の所は手間を省こうか。
 自宅用ウインドウを開いて、ポチリ。
 設置費用が農地200万、果樹園500万。
 それぞれに向いた、耕作地と斜面が誕生した。

「今の何、何!?」
「何か生えて来た!」

 屋敷に入っていた子供達が飛び出して来る。
 何でも初めてでビックリだな。

 集合して丁度良いので、探検は終了。
 お引越しは明日。今日はワクワク感だけ持って帰ろう。

 次、カーラさんの仕立屋へ。
 シャンタル越しに連絡が来た。
 新衣装が揃ったらしい。受け取りに行かないと。



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