黒鷲の旅団
16日目(9)登城戦用意

「おおー、かっくいい」
「可愛いし、カッコイイ?」

 カーラの仕立屋へ。
 従者隊の新衣装を受領する。

 お揃いのブレザーとキュロットスカート。
 絵的に、やや上流の学生さん。
 式典に着て行けそうな制服。
 貴族の高級品には劣るだろうが。
 とりあえずの体裁は整う。

 ブーツと手袋はハードレザー製。
 リバーシブルの帽子。
 ケープマントも裏地は黒。
 防御力も隠密性も幾らか向上する。

「あはっ、また大きくなった?
 待っといで。すぐ合わせるから」

 採寸から僅か2日だ。
 それでも合わなくなった子が数人。
 太ったかな、と心配げなノイエ、テルーザ。
 育ち盛りがダイエットなんか気にするな。
 モデル体型とか目指さなくて良い。
 何より元気でいて欲しい。

 しかし、イェンナとカリマは全然変わらんな。
 イェンナなんかモリモリ食っているのだが。

 太らない体質。
 いや、エルフの種族特性か?
 かと思えば、純エルフのアイリス。
 こちらは少し肉が付いた感。
 単に個性なのか……分からん。

 マイナさんはドレス姿。
 端的に言って美しい。
 俺も正装だが、文化が中世だ。
 デザインが軽くコスプレっぽい。
 まあ、豪に入っては何とやらだが。

「たはー……正装っすか」
「やべえ。全然考えとらんかったわ」

 イェルマイン、サナトスがガックシ。
 ああ、すまん。
 俺も声ぐらい掛ければ良かった。
 他所まで気が回ってなかった。

 幸い、大人向けなら出来合いの物があるか。
 少し高いが、カーラ達の方に余裕がある。
 ツケでも構わないと言ってくれる。

 問題は、子供用の衣類だが……
 イェルマグ隊の子供達に代案。
 生地を少し加工、マントにしよう。
 従者の装備にマントで少し高級感を出す。

 あとは……まだ少し時間があるか。

 ベラさんに連絡。
 魔女協会に来て貰う。

 貴族出身の彼女だ。
 練習場で子供達に簡単な指導を依頼。
 所詮は付け焼き刃だが。
 お辞儀だけでも習得させたい。
 あとは心得程度で良しとする。

 それと公主に通信。準備中か。
 叙勲式の流れを確認したいんだが。

『流れって? ああー、適当適当。
 あんたもマメねえ』

 何というイイカゲン具合。
 そこはかとなく心配だ。

 時間を聞いて、少し早めに行くと伝える。
 公主が適当なので心配。
 騎士団長と打ち合わせをしよう。

 子供達は、お辞儀は覚えた?
 俺もちょっと練習する。
 ベラさんに見て貰って、一礼。

 ベラさん、ちょっと自信無さげ。
 ブランクがある。
 男の方は教わってもないか。

「ああー、もう少し、こう。こうです」

 サナトスの従者隊から。
 従騎士ルキュアさんから助け船。
 そうだった。サナトス。
 実家が貴族設定じゃないか。

 イェルマインや少年チームも並んで礼。
 練習していて礼法スキルとやらも発生。
 一応習得して……まあ、大丈夫かな。

 城へ出発する前に、確認。
 うちの子達、エリック達も聞いてくれ。

 これから城で叙勲式。
 続いて夕食パーティだ。

 イェーと声が上がるが、待て。
 確かにパーティはパーティだが。
 これは楽しい物とは限らない。
 戦いに行くつもりで。
 どうか気を強く持って欲しい。

 公主様と一部の貴族連中は仲が悪いという。
 そんな中、公主様に呼ばれて城に行く。
 少なからず嫌がらせをされると思う。

 下賤云々は当然。
 陰で表で笑われたりもするだろう。
 竜のタマゴ強奪を依頼した奴もいるハズだ。
 ただでさえ暇な金持ち連中だ。
 どんな変態が紛れているかも分からん。

 無理な要求をされた場合。
 従者が勝手に決められないと言う事。
 必ず俺を通す様にと言って欲しい。

 知らない人と内緒話をしない事。
 俺に酷い事をするとか言われても。
 従わないと俺が不利になると言われても。
 それでも尚、断る事。

 名目上、お前達も公主様の賓客だ。
 無礼を働いて首が飛ぶのは向こうの方だ。

 何か制限を掛けられたとして。
 こちらには公主直筆の嘆願書がある。
 後で打開する方法は必ずある。
 イェルマイン隊にも数枚渡しておく。

 変なのに連れ込まれない様に。
 何か気になっても1人で見に行かない。
 必ず6人1小隊で行動する。

 叙勲に際し……そうだな。
 俺は単独で呼ばれるかも知れん。
 サンドラにはマイナさんとアンヌ。
 アンヌも来てくれるのが頼もしいが。
 あと3人付けよう。

 フレスさん、ヘリヤ、シャンタル。
 急で悪いんだが、来てくれるだろうか。
 公主に嘆願書を送信。
 賓客に魔女3人追加したい。

 戦場は宮廷、謀略戦の中へ。
 総員、堅陣防御の態勢で行こう。



前へ黒鷲の旅団トップへ次へ