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黒鷲の旅団
17日目(1)黒鷲団、引越し中
「ごめんごめん、それあたしのー」
魔女協会、旧館。子供達の宿舎。
部屋の片付けをしていると。
戻って来たのはカーチャ。
今日、子供達は引っ越しの作業。
借りていた部屋から俺の家。
それぞれの自室へと私物を運ぶ。
俺は後始末。
各部屋の掃除をして回っていた。
浄化、洗浄、乾燥、空調、消臭魔法。
しつこい汚れに分解、煮沸、融解魔法。
汚れを魔法で排除して。
あとは簡単に拭き掃除。
立つ鳥跡を濁さず、という諺だが。
子供達はこれを大層気に入った様子。
荷物を置き終わると反転。
戻って来て手伝ってくれる。
黒鷲団、鳥さん傭兵団という連想だろう。
それにしてもカーチャは物持ちだ。
両手いっぱいの荷物が、もう4往復目。
カーチャに限らずか。
孤児だった子は荷物が多い。
孤児。貧しい共同生活。
自分の物はみんなの物。
そこから一歩脱却した。
自分の物が自分の物。
それぞれお宝を貯め込んでいるらしい。
倒したキマイラ、ヤギ頭の角だとか。
ゴブリンが落としたガラクタ兜だとか。
カーチャの趣味は少女より少年っぽい。
「ふあーい!」
「ふあーう!」
建物の外で、ラケルとアンゼさん。
駆け回っている。
ニワトリを誘導している様だ。
レイヴン婆さんの厚意から。
ニワトリを4羽譲って貰った。
ラケルに懐いているのだろう。
綺麗に1列縦隊。
傭兵団ならぬ養鶏団かな。
ラケル小隊とでも名付けるか。
「ふっあーい!」
「ふっあーう!」
しかし……何で、あの2人。
共鳴みたいになっているんだ?
何か通じる物でもあったんだろうか。
別に楽しそうだから良いんだけれども。
「へーい、そこの兄ちゃん。
お茶しなーい?」
「お茶しなぁーい?」
ホウキで飛んで来たシャンタルとアンヌ。
休憩の誘いが雑なナンパみたいだ。
乗れ乗れ言うので、えー、どっちだ。
今回はアンヌの後ろに乗せて貰う。
シャンタル、露骨に凹まないで。
また今度頼むから。
アンヌはシャンタルから指導。
ホウキでの飛行術を教わっていた。
使いこなせばバイクみたいな気軽さで。
ただ、稼働時間と積載量。
これが自分の魔力次第だと。
やっぱり子供達には馬を買おう。
旧館前、中庭でオヤツ休憩へ。
フレスさんとマイナさん。
タルトを作ってくれた。
俺もレシピを聞きたい。
使用人みたいな事をさせられない。
などと気遣うマイナさんだが。
一緒に作ったら楽しいですよとフレスさん。
お気に入りの小説か。
そんな描写があったかな。
マイナさんは固まってしまった。
何か空想している。
「おーい、お手紙だよー」
ヘリヤが来て、手紙……それは手紙か?
分厚い書類みたいな物を持参した。
大陸魔法機関から俺宛て。
例の禁呪やらの説明か。
縮退魔法、準禁呪級攻撃魔法に認定。
表記はS級の次でX級だと。
禁呪はZ級になるらしい。
禁則事項が多々。
何十項に渡って罰則だとか諸々。
使用に際して周辺環境を著しく損なう。
それはそうだろうな。
準禁呪、完全禁止とは言わないが。
しかし環境保全の為の費用を徴収される、と。
俺が使った初回のは……ええと?
金。罰金に関して。どこだ。
ページが多くて探すのが大変だ。
「禁呪ってさ。
見つけて報告すれば懸賞金が出るとかって」
「罰金と相殺されているのでしょうか」
シャンタルとフレスさん。
そうなのかな?
とりあえず請求書なんかは来ていない。
説明を見る限り、罰金。
安くても100万程度らしい。
普段から残高にも気を付けよう。
1発100万……
割高の特殊ミサイルみたいな扱いだ。
その他、特許認定の報告。
爆縮魔法、攻撃A。
衝撃波魔法、攻撃B。
瞬間風化魔法、多目的A。
崩壊魔法、多目的B。
電磁加速魔法、補助A。
培養魔法、多目的A。
培養は多目的魔法か。
治癒以外にも使うから。
風化と崩壊は土建屋向きかも知れない。
電磁加速魔法は加速対象が無いと無意味。
なるほど補助。
伝承料、売り上げの方は。
Sクラス、温泉魔法のみだが24件。
Aクラス、抗生・抗血清魔法を中心に33件。
Bクラス、防毒や浄血。43件。
Cクラス、解熱、空調……26件。
……何だ?
温泉魔法はともかくとして、他。
神人達は毒の怪物にでも手こずっている?
ダンジョンに難敵でも出ただろうか。
売り上げは1940万。
所持金2141万といった所。
んー、まあ……買える、のかな。
「あっ、お兄さん」
「もうお掃除するトコ無い〜?」
通り掛ったユッタ、マリナ。
自宅から通いのチーム。
引っ越しが簡単に済んだ様子。
あとはフィリッパとペトリナ。
手が空いていると。
お昼を目標に引っ越し作業を継続。
手の空いた子は引率する。
俺の買い出しを手伝って貰おう。
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