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17日目(3)散財ハウスメイキング

「あははっ! すげー!」
「ニョキニョキです! ニョキニョキ!」

 カーチャとカリマが喜んでいる。
 にょきにょき……まあ、にょきにょきだなあ。
 危ないからみんな、敷地に入るなよ?

 自宅へ戻り、各種設備を設置している。
 神人のウインドウを開いて、ぽちぽちタップして。
 金と引き換えに、施設や何かが生えて来る。
 本当は市民に建設を委託して、金を回すべきなんだけどな。
 騎馬運用の基礎。完成を待てないので神人の特権に頼る。

 まず牧場を設置。代金は200万。
 牧場は施設用の枠を2つ使ってしまう。
 しかし牧草地帯はスペース1つ分。
 空きスペースの方には関連施設を建てられる様だ。

 空きスペースは正方形だが、設置個所は3ブロックが2列。
 中央ラインは設置不可の様だ。交通用か。

 20頭収納可能な厩舎を2つ設置。2ブロック×2。100万。
 10羽収納可能な鶏舎を設置。1ブロック。50万。
 飼料の収納にサイロ設置。1ブロック。50万。

 あと、飼い葉や穀物用に農地を1つ増やす。200万。
 井戸を掘るより、敷地を水路で囲ってしまう。
 これは設置枠を消費しない様だが、300万。

 ホント、金が掛かるな……
 1100万あった残額が200万と少々に。
 残高に気を付けよう、とか言っていた矢先にコレだ。
 一回設置してしまえば、暫く大丈夫だろうけれど。

 さて、建設はこんな所だろう。入ってよし。
 マリナやペトリナが馬を厩舎に誘導していく。

「こっこ! こっこ来たぁー!」

 あ、はい。ラケルさん。
 アンゼさんやニワトリ4羽も到着。
 コッコ小隊は鶏舎に向かってください。

「けーしゃ! こっこぉ〜!」

 ラケル小隊のニワトリ達が行進していく。
 こっこぉ〜、はコッコに進行が混ざっているんだろうか。
 少しラケルの物言いが分かって来た様な。

『翻訳スキルが習得可能になりました』

 脳内ウインドウ…………えっ、別言語扱い?
 まあ、スキルは貰っておくけど。

 アンゼさんには花人代表として、馬に試乗して貰う。
 花人の足先はツタの集まりの様で、少々不安だったのだが。
 鞍の様に馬体に取り付いて、馬も嫌がる様子はない。
 密着していて安定感でもあるのか。
 それともテレパス的な所で宥めているのだろうか。

「へっ、へーい、乗ってかなーい?」

 シャンタルがホウキで来訪。早々のリベンジ。
 何でまた、そんなに俺を乗せたいんだか。

 ともあれ、シャンタルのホウキに乗せて貰う。
 子供達の様子を見て回り……進捗は、もう少しか。
 自宅空間に居る子、魔女協会に居る子もチラホラ。

 通信魔法展開。マルチコネクト。
 全員、作業をしながら聞いて下さい。
 今の仕事が終わったら、各自魔女協会に集合。
 ひとまず、お昼ご飯にしよう。

 それから、今日の予定。
 ジルケ隊やマイナさん、新人魔物従者隊。
 アラクネ、ラミア、ハーピー。コロボックル達も。
 みんな魔女の魔法授業を受けて貰う。
 通信魔法は今後、必須になるだろう。

『え、でも、お高いんじゃ……』

 呟く声は、ジュスの通信越しにモニクさんか。
 授業料はこちらで出す。
 これは俺が便利だから覚えて貰うんだ。
 半ば強制だが、お願いします。

 リザードマン2名は魔力どうこうではなく、男性。
 対等に扱うが故に、魔女協会。今回は習得を見送る。
 いずれ他の魔法ギルドに繋ぎを作りたい。

 他の子供達、花人隊は、先に馬の練習。
 リザードマンは馬車を受け持ってくれ。

 授業組が戻ったら、一度合流。
 馬でどこまで行けるか、少し遠出をしてみよう。
 細かい集落を回って、尋ね人の手配書を貼らせて貰う。

 フィリッパの両親の捜索依頼書。
 あと、レーネの仲間の目撃情報でもあれば良いんだが。
 方角は北西。トランシルヴァニア方面。
 途中からは休戦中のシュテルン公国領だ。
 入れて貰えないだろうが、境目まで行ってみよう。

 リータとラケルは引き続きお留守番。
 部屋は俺達の家に移って貰う。

 ただ、広い家に幼児退行したラケル……不安だ。
 事故でも起きたら、同年代のリータでは助け切れない。
 留守中に面倒を見てくれる人が欲しい。
 魔女達も頼ってくれと言ってくれているのだが。
 しかし、永続的に頼むのは負担を掛ける。

 誰か世話役が雇えると良いんだが。
 保母さん……メイドさんか何か。
 ギルドにでも募集を出してみようか。

 というワケで、引っ越し作業の子は引き続き。
 リザードマン達も可能なら手伝ってやって。
 俺は昼食の前に、冒険者ギルドに顔を出して来よう。



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