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黒鷲の旅団
17日目(13)暗闇を越えて
「ご主人、来てるよ。何か来てる」
そうなのか……全然分からん。
すっかり日も落ちて、夜営。
見張りに加わるラミア族。
ルミリナ、ラーナ、ノルガ。
彼女らには熱探知の能力があった。
蛇さながら、だな。
野営時、索敵に大いに役立つスキル。
特有の役立ちポイントが見つかった。
彼女らも満足げ。
一緒に居たい。
だから、お荷物では居られない。
必要とされる理由は多い方が良い、か。
非代替性が自信に繋がるとすると。
特技とか、なるべく見つけてやりたい。
それはそうと。
接近して来る人影が複数。
恐らくはレーネの身内だと思うのだが。
しかし、探知魔法には引っ掛からない。
隠密系のスキルか魔法を使っている。
看破魔法リヴィール。
加えて探知魔法ディテクト。
隠密を暴いて探知に感。
反応は敵対の赤だ。
魔物か、野生動物か。
あるいはレーネの身内か。
このままでは判断がつかない。
レーネの協力が要るか。
彼女を探す。
と、彼女は焚火の前。
フィリッパと話をしていた。
「あっ、おじさま、良い所に」
「あ、あのあの……
聞いて貰っても?」
あのあのフィリッパの迷い。
レーネ同様の問題。
家族が見つかったらどうするか。
フィリッパの自覚として。
レーネほどの戦力ではない。
ただ、第2銃士隊の副長を任された。
頑張ってみたい。
それ程までは必要とされないのなら。
それはそれで寂しいのだが。
家族の下に帰るのもありで。
しかし一方で。
自分だって必要とされたくもあり、か。
必要かどうか……必要だとも。
隊長ジルケは失声症。
念話魔法で魔力切れが怖い。
ヘルヘレは手練れだが指揮に興味は無し。
フィリッパが間に入ってくれる。
それで上手く回っている部分がある。
家族、帰る家を見つけて。
家路を、それはそれで確保して。
しかし両親について。
生活に困って彼女を手放した節がある。
このままついて来るのはどうか。
出稼ぎか何かのつもりで。
貧しくて人手に渡したのであれば。
逆に養ってやれれば良い。
家族みんなで暮らせる様になる。
それこそ離れる必要が無くなる。
あるいは……例えば、だがな。
ご両親を家に招いてだ。
畑とか手伝って貰えないか。
農地は広い。
リータとラケルだけでは手が足りない。
商人だったらしいとも聞いた。
商売に拘りがあれば難しいか。
だがまあ、住むだけでも。
提案する価値はあるかな。
「あのお家が……
私のお家になる……ふふー!」
フィリッパ、笑顔。
残留を前向きに検討する様で。
それでは、こちらの用事を1つ。
レーネに同行して貰う。
ラミア達の所へ。
接近者に再び看破・探知魔法を試す。
俺から見て、相変わらず反応は赤。
傍らに控えたレーネに聞く。
レーネから見ては緑だという。
つまり、連中はレーネを認識している。
この一団全体を敵視しているのではない。 >
ただ、誘拐犯か何かだと思われているか。
隙あらば襲って来るかも知れない。
……探知反応が消えた。
被探知に気付かれたかな。
スキルを使い直したのだろう。
まずは話し合いに持ち込みたいのだが。
レーネを前に出した場合。
力ずくで連れて行かれても困る。
レーネは待機させたまま。
通信魔法を指示。
思いつく名前に呼び掛けてみて貰う。
その合間、俺は前へ。
襲われるより先に接触を試みる。
両手を上げて、1歩2歩……
『えっお嬢様?
この声、レーネお嬢様ですか?』
「ペトラ!
あなた、ペトラね!」
背後でレーネの声。
通信が繋がったか。
もう1人ペトちゃんとは奇遇だな。
と、気を取られた折。
気配。殺気。
俺は脚を引いた。
途端、鋼鉄の一閃が鼻先を掠めた。
姿を現したのは3人。
銀髪の美男美女。
「よく避けたが、いつまで持つかな」
「よくもお嬢様を!」
「人間め! バラバラにしてやる!」
誘拐したワケでない、と言っても聞かんか。
だが、これでこちらも冷静でなくなった。
俺ではなく、レーネが。
「よ・く・も、私のおじさまにー!」
走り来るレーネの両手に光剣が煌く。
何だ? 新技? 解析する。
雷系上位近接攻撃魔法式。
ライトニングセイバー。
いつの間に習得、それも二刀流。
器用な上、魔力も上がったものだが。
レーネちゃん、怖い。落ち着いて。
聞かんかー……デコピン。
「ふぎゃっ!?
お、おじさま?」
はいはい、可愛い可愛い。
可愛いレーネちゃんに戻りなさい。
「で、でも、あの、私……はふうん」
擦り寄って来るレーネ。
頭を撫でつける。
レーネはデレッとした顔になった。
ポカーンとした様子の吸血鬼達。
レーネがコロコロ変わる。
ついて来れない様子。
えー……話し合いを提案します。
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