黒鷲の旅団
18日目(13)こっそり日和
「うーん、難局ね。難局調査隊だわ」
どこかで聞いた様なネーミングだが、どこだったやら。
アンヌは時々おかしな言い回しをする。
やっぱり翻訳か何かがバグっているのだろうか。
ヴィンフリードの屋敷に戻って一息。
出迎えたアンヌ、ティルア、カリマに、誘拐事件の事を話す。
アンヌは姉妹達にも声を掛けてくれるという。
ただ、他に任務が入っている可能性もあり。
この間みたいに人数が集まるかどうか……
分かった。ダメ元で当たってみてくれ。
ちなみに入り口、入り方だが。
紹介状が3枚要る話は、アンヌも聞いて来てくれていた。
門番さんを誑かして、既に1枚手に入れたという。
この際助かるけど、門番から貰っちゃうのはアリなのか?
「ん、まあ、殺して奪ったんじゃないんだし。
押し入る力があって、でも友好的に入ろうとしているのよ。
偉い人が居るなら、興味は持ってくれるんじゃないかしら。
それに……犯罪者達に、仲間に入れてくれっていう話でしょ?
これぐらいの事、出来なくてどうするの、って思うけど」
頭と口が良く回る娘だ。頼もしいよ。
義理の妹、フィロと良い勝負だろう。
「ろべ……って、誰だっけ」
「行商のお姉ちゃんです」
「えー、ヤバいじゃん」
ティルアとカリマ、そういうワケだから。
公子公女にも手を借りたい。探して来てくれるか。
カリマが先に駆けて行って。
ティルアからは話したい事があると。
マルカとカーチャが昼寝を始めた。
それ自体は健康的で良いと思うんだが。
寝溜めして、こっそりついて来ると言っていた?
「しくっても、おっちゃんがー……なんて言ってさ。
姉ちゃん攫われてんなら、遊んでる場合じゃないよ。
マルカ達を止めないと」
ティルアなりの気回し。
いや、そもそも遊びに行く様な所じゃないんだが。
あの2人は冒険心を持て余しているのか。
他に事件がある以上、何かあった時にフォローが難しい。
監視するより、説得して思い留まらせた方が良いな。
おやつでも作って起こそうか。
他のみんなにも話さなきゃな。
家族なんだから隠し事は無し。
トゥーリカ司令のお達しだ。
ティルアも公子達を探しに行って。
俺は先にフレスさん達に合流。
俺が居ない間の魔法授業、授業料を払いたい。
授業が一番進んでいるのは9人。次は5級授業。
ユッタ、イェンナ、フェドラ、マリナ、トゥーリカ。
レーネ、ペトリナ、カリマ、ティルア。
次いで4級。19人。
マルカ、カーチャ、ノイエ、ツェンタ、アイリス。
テルーザ、エメリナ、フレヤ、ジェマ、ルーシャ。
それと花人9人。アンゼリシアを筆頭に。
ベゴニエッタ、ポインセティナ。
カトレ姉妹は分裂で魔法レベルが落ちたのだが。
それでも知識とスキルは保持している。
他にアザレリーナ、バーべネリア、ゼラニア、アンスリーヌ。
次、3級が4人。トップはジルケ。
花人はルピリエッテ、マーガレッタ、ラベンダリア。
どうもルピリエッテ、2回分の授業料が漏れている。
初回は遅れて参入、別で授業を受けていた様だ。
2回目は俺の計算ミスだろう。
だろうけど、流れで潜り込んでスルーされている。
魔女達は構わないと言ってくれるが、この際ちゃんと払おう。
2級は13人。マイナさん、フィリッパから。
ヘルヴィ、ヘレヴィ、ローダ、テクラ。
アラクネのネーラ、ラミアのルミリナ、ラーナ、ノルガ。
ハーピーのロヴィリス、セレスタ、イスメーネ。
コロボックルさん達2人はまたの機会に。
通信魔法の連絡、今日はハミルトンの所で仕事中だ。
あと、リュドミラ公女の初級授業料を立て替えておく。
初級が2万、2級が5万。以降、5万ずつ増額して。
お支払総額は……579万?
「あ、その、授業料ですけれど。
お世話になっていますし、見直そうって話で」
フレスさんの厚意。2級以降は一律5万にしてくれた。
支払いが279万に下がり、残高は339万と少々。
300万か……もう少し金策したい所だ。
金が要る。攫われたお嬢様を競り落とすにせよ。
死にそうな奴隷を保護するにせよ。
まずは自宅の収穫品を売れるか試そう。
金貸しに借りるのは少々怖いが、どうするか。
と、金もだが、入る為の紹介状が無い事には。
公子達の方でも手に入っていると良いが。
「よう、黒鷲の」
ヴィンフリード、リュドミラと合流した所。
もう1人、誰か見た顔。身なりの良い小太りの男。
えー、確か、エドヴァルト公子。
ん? 詳しそうな人物って、彼が?
公子が裏社交界に通じているとか、色々と大丈夫なのか。
この際、頼らせて貰うしかないけれども。
お忍び公子、追跡を企てる子供達。
何だかコッソリ日和になって来た。
この調子で潜入も上手く行くと良いんだが。
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