黒鷲の旅団
20日目(14)再編、少年少女騎兵隊
「お願いします。俺達を鍛えてください」
一緒に戦いたいと言い出したセリム達。
キッカケは巨大イカの撃退だとして。
動機は、自衛手段の確立だろうか。
魔王軍に支配された彼らの故郷。
このまま戻っても、連中を撃退する手段が無い。
また捕まって、奴隷身分に落とされてしまう。
奴らを追い出す、魔人と戦って勝つ、のは無理だとしても。
最低限、ザコを蹴散らしつつ逃げ回る力は必要だ。
無力なままで、自治や自由は維持出来ない。
取り急ぎ、面接と解析、協議。
新人の編入を行います。
黒鷲団への入団は2名。
トゥリンが第2弩兵隊、ヒュリヤが第2弓兵隊員となる。
凄くホッとして見えるのは、うちに亜人種が多いからか。
銀狐騎兵隊、イェルマイン隊への入隊は3名。
男子はジェマルとハシムが槍騎兵見習いに。
女子はデメット。弓騎兵見習いとなる。
子供13人。大人はイェルマグを入れて10人。
生活の指導役として、大人をあと3人追加したい。
アイシェとエヴレンは、若干だが魔法適正が見つかった。
フレスさんの勧誘で、魔女見習いとして魔女協会へ。
それと……レイニさんから申し出。
村でも子供を引き取りたいと。
村人達はマルカ達に、亜人種に大きな借りがある。
にも拘らず、リリヤに、半スキュラの子に心無い発言をした。
このまま亜人種を追い出した村にしたくない。
非礼を詫びると共に、受け入れる努力をしたいと。
グレンやイヴェッタを始め、村の子達も強く頷いた。
そういう事なら……と、セリム、ルステムを預ける。
連れ回せない赤ん坊や母親達も、村で面倒を見て貰う。
資金や何か、必要な物は言ってくれ。
セリムとルステム、武器は何をやってみたい?
銃……2人とも銃だと言う。
村唯一の銃士アウドラが先輩、指南役に。
お姉ちゃんも隊長だね、とジルケ。
姉妹揃って嬉しそうな顔が並ぶ。
ウィンチェスターの手配はこちらで……
と、もうユッタが通信を始めていた。早い。
あとは、何かあった時の連絡役に。
フレスさん達から魔法指導と、魔法の伝授を。
通信、それと治癒魔法ぐらいあっても良いだろう。
品揃えを変えないとね、とは道具屋ブシュラさん。
扱っていなかった魔力薬に需要が出る。
仕入れ先は魔女協会になりそうだ。
それから……各隊、整列。
呼ばれた者は前に来てください。
「え、何? 何?」
「あっ、勲章だ!」
「騎士勲章!」
一日の最初に渡すと浮かれそうだったので、後に回した。
叙勲がまだの子達から順に配ります。並んで並んで。
司令部はサンドラ、アンヌ、トゥーリカ。
マイナさんとジュス姉さんにも騎士勲章を。
「ふぉっ! 魔女で騎士なった!」
「私も? 私もあるの?」
揃って早々に嬉しそうだな。
トゥーリカのは、なるべく小さくして貰ったがのだが。
それでもまだ大きいだろう。頭ぐらいある。
コロボックル達に頼んで、カバンを作って貰った。
肩掛けの妖精用カバン。勲章1つでいっぱいになっちゃうけど。
続いて第1銃士隊。イェンナ、カリマから。
カーチャ、ノイエ、ルーシャ。
第1弩兵隊はペトリナ、ティルア。
ツェンタ、アイリス、テルーザ。
第1弓兵隊はフェドラ、マルカ。
エメリナ、フレヤ、ジェマ。
第2銃士隊。隊長ジルケ、副長フィリッパ。
ヘルヴィ、ヘレヴィ、ローダ、テクラ。
羨ましがってる新人諸君。
お前ちゃん達の分も、既に申請している。
レベルと実績が追い付いたら渡すので、期待してくれ。
本当は花人や魔物従者隊にもやりたい。やりたいんだが。
俺の身分と公主の権限では、まだ無理だった。
騎士叙勲。公的な権限と、それに伴った監視が付く。
権限。市民や一般兵卒を誘導、動員する権利など。
監視は国や上位貴族、あと神聖教会とか。
神聖教会にお目溢し頂くには、多額の寄付が……
贈賄めいていて、それも何だか釈然としない話だが。
あるいは、トップクラスの強力な口利きが要る。
こっちの方が難しいかも分からん。
最後に、既に騎士叙勲している3名。
ユッタ、マリナ、レーネ。
1つ上の準男爵に繰り上げます。
気が引き締まるね、とユッタ。
これが実際、引き締まっていたりする。
爵位を上げたらパラメータが微増した。
気の持ち様からでも、バフ効果があるのか。
私らも欲しい、と、ヘリヤとシャンタル。マジか。
雇用可能な兵数も増えるんだよなーとランカーさん。
ガイゼル達まで興味を示して来た。
しかし、公主あるいは俺の部下になってしまう。
有事に至っては招集が掛かり、部隊に組み込む事に。
大体いつもじゃーん、とガイゼル隊の魔女サスキア。
まあ、そうと言えばそうなのか。
嫌でないなら、取りあえず申請してみよう。
俺の部下にしてしまえば、気も回し易い。
勲章だけなら、すぐ出来るだろう。
しかし正式な認可にはレベルと実績が要る。
それぞれ鍛錬は怠らない様に。
再編はまあ、そんな所として。
イェルマイン隊は3人大人を増員したい。
一旦首都に帰って……おや。
農夫タイタスさん、何か出たから来てくれと。
やれやれ、今度は何が来たのか。
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