黒鷲の旅団
21日目(7)ごっそり
「あっ、クレールだ」
「い、いらっしゃい……」
闇商人バルタザールの店へ。
出迎えたのは姪のクレールヒェン。
以前、仇討ちの依頼を受けた少女。
おじさんは……寝ている時間か。
店はブラックマーケットの一角。
営業は基本、日が沈んでから。
しかし俺達は何時でも来て良いと言われていて。
どうやら昼間はクレールが店番をしてくれる。
そのクレールだが、少し緊張している?
「あ、あの……貴族だなんて知らなくて。
無礼があったかなって」
気にする様な事は何も無いし。
多少あったとして、そこまで気にしなくて良いんだ。
うちの子達とは仲良くしてくれると嬉しい。
クレールは少し落ち着いた様で。
早速、新しい銃を選ばせて貰おう。
カリマは俺と同じが良いと言う甘えん坊。
ツァスタバの方は無理だから、ウルティマ・ラティオ。
クレールがすぐ在庫を見に行ってくれた。
ノイエは、これが面白いと持って来て……
ブルパップ式。機関部がグリップの後ろにある。
ケッペラー&フリッツKS-Vスナイパー。
半堕天使ノイエ、ブルパップの方が空中戦に合うだろうか。
弾倉がグリップの真上。装填で困る事は無さそう。
カーチャが選んだのはバルメット7.62 TKIV85
木製ストックの方が落ち着くと言う。
これまでのウィンチェスターにも愛着があったのだろう。
ルーシャはシャイタックM200イーターベンション。
流石に弾道計算コンピュータは機能して……
ん? 機能自体はありそうだ?
しかし起動する為のバッテリーが無い。
自作できるか……うーん、どうだろう。
まあ、銃自体も高性能だ。
気に入ったなら使ってみても良いだろう。
ちょい重いが、大丈夫か?
転移魔法で出し入れするなら良いか。
ジルケは……『タタタ』が、連射系が良いと言うが。
それも買うけど、まずは狙撃銃な。
ゴブリンを見ると突っ込んで行きそうになるジルケ。
どうか、自分の身を守る事も忘れないでおくれ。
チョイスはネメシスアームズ・ヴァンクウィッシュ。
パワー不足のフィリッパには少し軽い物を。
サコーTRG42でどうだろう。
ハーフノッカーのローダ、茶色のレミントンMSR。
色味が好きだった? そういう選び方もあったか。
新鋭は新鋭なので問題無いけれども。
テクラは……また似た様な色を選んで来たな。
APOアシンメトリック・ウォリアー338。
ヘルヴィとヘレヴィは、お揃いが良いと。
丁度在庫が2つある、AIアークティク・ウォーフェア。
それと……各隊2つずつ、計4つ。
ブローニングM2重機関銃を配備します。
持ち運びに不向きなので、出し入れは転移魔法で。
他にも買いたい物があれば、止めないけれども。
物騒な代物だという事は忘れないで欲しい。
いきなり短機関銃を取り回すとか、誤射が怖い。
使い慣れない種類は練習してからだ。
いきなり……ああ、そうだ。在庫はあるかな。
拳銃、ブラックホークを36丁揃えたい。
弾丸は実弾の他、非殺傷のゴム弾を100パック。
阻害魔法を付与すれば、対象の捕獲には使えるだろう。
まずは拳銃から慣らしてみようか。
クレールヒェンに見て貰って。あったけど足りない。
ただ、仕入れる当てはあると言う。
発注しておくので、不足分は後で届けて貰おう。
「お兄さんの銃の小っちゃい版だね」
「へへっ、ガンマンだぜ、ガンマン〜」
まずは銃士12人全員に配備。
ユッタやイェンナも嬉しそうで良かった。
拳銃を配りながら、一応の心得を。
銃も剣も同じだ。剣を抜いたら、銃を向けたら。
もう敵意があると見なされても仕方ない。
やたらチラつかせたりしない様に。
お前達は大丈夫だと思うが、一応な。
狙撃銃がそれぞれ80万前後。
M2もオマケしてくれて同価格帯。
ブラックホークも1丁5万のお値引き価格。
それでも出費総額1275万。
まあ、大した買い物になった。
大体の近代銃器なら、この店で揃う様だ。
欲しかったが無かった物、といえば大砲か。
パンツァーファウストはあってもカルバリン砲は無い。
この辺は、他を当たってみるより無いだろう。
そう言えば、カルバリン砲の他、バリスタとか攻城兵器。
ハミルトン爺さんの店には在庫があったんだ。
流通経路について聞いてみても良いだろう。
俺からの贈り物は清算を済ませて。
他にも何か買ったかな。
お金足りてる? はーい、の返事がハモる。
次はハミルトン爺さんの店へ向かおう。
弓弩隊が先に武器の手入れをしているハズだ。
店を出て少し行った所で、
「うおっ、スゲェ! ごっそり無くなってら!」
起きたのか、店の方でバルタザールの声がする。
はは、ちょっと買い過ぎたかな。
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