黒鷲の旅団
22日目(5)ソワソワと拡張
「子供達からも、やってみたいという声があってな。
なかなかタイミングが無かったのだが。
今日は休養と聞いたので、これを機にと」
ジズ様より説明の、本日の魔女授業。
まず一番進んでいる9人だ。
ユッタ、イェンナ、マリナ。
フェドラ、レーネ、ペトリナ。
トゥーリカ、カリマ、ティルアまで。
前回5級を経て、今回は正魔女試験になる。
急に大丈夫か。準備期間とか……
って、今もうやってるのか。
予習する暇なんてあっただろうか。
「何、筆記は今まで教えた事の復習だ。難しくない。
字が書けない子には口頭での質問回答を行っている。
実力があるのは知っている。実技も免除で良いだろう。
よしんば赤点でも、魔法習得の儀式は行うが……
大丈夫だろう。我らにとっても優秀な生徒達だ」
自信満々なフリアさん。
しかし、ダメだった時に掛ける言葉も考えておかないと。
きっと大丈夫。大丈夫とは俺も思うけれども。
最初、サンドラちゃんが苦労しているのを見て来たからなあ。
「だ、大丈夫ですよ。
サンドラだって、魔力が伸び悩んでいただけで。
彼女もレベルさえ上がったら、楽勝だったんですから」
フレスさんも落ち着かせてくれて。
うん、まあ……そうだな。
俺がソワソワしても仕方がない。
俺は俺でやる事をやっておこう。
授業料の支払い。受験料も同じで良いのか?
2級以降は一括5万にしてくれたんだった。
正魔女試験、ユッタ達9人。
5級魔女授業、マルカ達や花人達18人。
4級はジルケとルピリエッテ達4人。
3級はマイナさんやフィリッパ達、魔物隊で13人。
2級はフリーダ達6人と、コロボックル2人。
後から来たいらしいので、先に払って置く。
それと、初級を受ける人が居ます。
新人のヒュリヤとトゥリン。
それと、アンヌとジュス姉さん。
1回受けてみたいと言っていた。
「まさか魔王の娘に教える日が来るとはなあ。
まあ、貴殿のよしみだ。恩を売っても良いか」
恩に着るよ、フリアさん。
授業料を払う事、全部で268万。1日でこれ。
魔法のマネーカードから現金化して……
やっぱりまだ高くないか、とフリアさん。
良いんだよ。支援金込みだし、得る物も多いから。
それから自宅に戻り、増築を済ませてしまう。
ケンタウロス少年少女は屋敷の前へ。
リータとラケルは伯爵の屋敷に一旦避難。
安全を確保して、区画整理を開始します。
手始めに、敷地拡張に1千万。
設置可能な枠が9から15になる。
牧場スペースを1つ追加。200万。
飼料用のサイロ1つ、50万。
厩舎を2つ。200万。
これで馬が80頭収容可能に。
空いてる付属スペース1つには資材小屋。20万。
これはリータ達の着替え置き場も兼ねる。
それから別館を増築。伯爵の屋敷だ。
2階建てが3階建てになる。
収容可能人数も20人が30人に増えた。
ついでに、施設を入れ替え移動。これは金が掛からない。
外来の農業手伝いと畜産チームの動線を分けたい。
屋敷に向かって右に農場を。左に牧場を集める。
醸造所を伯爵の別館の前へ。
地下通路を設置して、昼間も移動可能にする。
本館とも1つ通路を繋げて、それぞれ費用200万。
あと……どうしようかな。
神人用自宅カタログを眺めて検討する。
屋敷の正面に庭園を置こうか。50万。
リラックス効果。自然回復力とか増加するらしい。
オプションで噴水を付けます。100万。
ぼこん、ぷしゅんと施設が移動して。
中に居た人達は大丈夫?
ちょっと驚いたがな、と伯爵から通信魔法。
先に言っといたから良いが、急にやるモンじゃない。
さて、屋敷をまずデンと置いて、その正面の配置だ。
空き・別館・庭園・別館・空き
牧場・牧場・空き・醸造・果樹
牧場・牧場・空き・農地・農地
3×5マスが、大体こんなモンか。
ひとまず、これで良し。
各自作業に戻ってください。
「あれ、もう来た」
「早いよ。早い」
魔女協会に戻ると、魔女達にニヤニヤされてしまう。
早い? まだ試験中? まだ終わらないか。
いや、俺がソワソワしたって仕方ないんだが。
うーん、どうしよう。
俺の方も拡張しようか。
受付に言って、魔法系称号の更新をする。
【ハイ・ウィザード】を【アーク・ウィザード】に。
【ソーサラー】を【ハイ・ソーサラー】にする等。
それぞれ対応する魔法の効果が高まるハズだ。
それで……終わった? まだかー……
俺がソワソワしても仕方がない。
仕方がないけど、ソワソワしてしまう。
子供達、緊張してないか。
上手く出来なくて落ち込んでいないか。
うううーん……ダメだ。ここに居てもソワソワする。
やるべき事を探しに、もう一度出て来よう。
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