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23日目(19)魔物隊もすくすく?

「パパさんだ! それー、抱っきゅーん♪」
「どーん!」「きゃははは!」

 ぐわ。ちょ。おおっととととと?

 自宅に帰るなり、フェドラ、カリマ、リリヤ。
 3人で飛びついて来て、押し倒されてしまった。

 3人とも、ポータルの側で俺を待っていた様だ。
 良い子にしてたかー。ずっと良い子だもんなー。
 よしよしよしよし。撫でこ撫でこ。
 順番に頭や頬を撫でると、良い笑顔が並ぶ。
 元気付けられるのは俺の方だな。

 授業や何かの報告も聞きたいが……その前に。
 先に約束があった。アンゼさん達を呼んでおくれ。
 花人・魔物従者隊の成長報告から聞かせて貰おう。

「ご主人、遅いー」
「キリンさんになるー」

 アンゼにエッタ、ごめんごめん。
 そんなに首が長くなったら大変だ。
 というか、キリンさん見た事があるのか?

 第1花人隊、レベルは隊長アンゼリシアから54。
 カトレアーニャ42、カトレアーネ42。
 アザレリーナ48、バーベネリア48、ゼラニア46。

 第2花人隊は、隊長ベゴニエッタ52。
 ポインセティナ52、アンスリーヌ46。
 ルピリエッテ45、マーガレッタ44、ラベンダリア44。

 アンゼ、エッタ、セティナがクラスチェンジ可能。
 今はアルラウネ亜種、変種・第2クラス的な『ソーンナイト』。
 そこから1つ上がるとして、選択肢は3つ。
 バランス型の『ブルームテンプラー』を筆頭に。
 攻めの『ブランチバロネス』、守りの『ロードブロッサム』。

 どれも上位互換であり、パラメータダウンは無い様子。
 ロードで……言い切る前に首肯された。
 引き続き、壁役兼任での活躍をお願いしたい。
 ウインドウタップ。クラスチェンジ認証。

「ああう? 何か生えて来た」

 チェンジしたら花や葉が増えて、ちょっと派手になった。
 魔物系クラスチェンジは外見も少し変わるらしい。
 他の隊員達の羨望の眼差しに、アンゼ達は鼻高々。

 続いてアラクネのネーラさん、レベル41。
 戦績は程々だが、元々のクラスが初期の『アラクネ』。
 ここからクラスチェンジ可能になっている。

 チェンジ先はアラクネ系の上位……だと思うのだが、2択。
 一方は『エルダーアラクネ』と、そのまんまアラクネ上位者。
 一方は『オクタアーバレスタ』。八脚重弩兵といった趣。
 前者は種族寄り、後者は職業寄りのクラスという事だろうか。

 どっちが良いか……後者の方が良いという。

「黙っててもエルダーにはなれただろうけれど。
 ご主人ちゃんと来たから、そのオクタがあるワケでしょ。
 ありきたりなのも私の趣味じゃないしぃ〜」

 何か彼女なりの拘りがあるらしい。
 引き続き、蜘蛛女より重弩兵としての彼女に期待したい。
 種族的には変わらずアラクネなんだろうけれども。

 ラミア隊はルミリナ35、ラーナ32、ノルガ30。
『ラミア』から夜戦弓兵『ナイトアーチャー』に。
 パワーと射撃適性、索敵能力を中心にアップ。

 ハーピー隊、ロヴィリス32。
 セレスタ27、イスメーネ25。
『ハーピー』から『スカイシューター』に。
 パラメータは全体的に増。ややパワー寄りか。
 ウェルベックに頼んで、足ボウガンも調整しようか。

 リザードマンは隊長ライナスが36。
 レナード35、チェンバレン28。
『リザードマン』から『リザードガード』になります。
 パラメータは防御中心にバランス良く上昇。
 変化としては知力値が上がった為か、練習したのか。
 チェンバレンの喋りが少し流暢になっていた。

 骸骨騎士団、第1隊は隊長クラウス62。
 ヘルマン59、ハーゲン58、ボリス56。
 ロドリグ55、オレーグ54。

 第2隊は隊長ルドルフ63。
 ヴィクトル60、キリル55、オルランド54。
 ピエトロ54、ボニート53。

 骸骨騎士団は既に全員が『スケルトンロード』だった。
 スケルトンから始まる骸骨戦士系統の3つ目。
 今回、クラスチェンジはありません。

 コロボックルさん。モニク7、ヘーゼル7。
 非戦闘だがレベルアップして……何、ネズミと戦った?
 俺の知らない間にバトルが発生していたらしい。
 クラスはリトルスミス。小人職人で据え置き。

 伯爵達、吸血鬼は夜にならないと揃わないから後回し。
 最後に……一応。悪魔シュトルメータ、レベル63。
 職業、犬。『ドッグ』。これがクラスチェンジして救助犬。
『レスキュードッグ』になったと言えばなったんだが。

「わん!」

 得意げな返事。お前はそれで良いのか?

「しゅとゆー」
「わん?」
「ちっこー」
「ぎゃうん!」

 ラケルに呼び止められ、慌てて彼女を抱き上げるシュトル。
 2足歩行になってトイレへ駆けて行った。

 …………んっ?

 少しして、シュトルはまた四つん這い。
 ラケルを背中に乗せて戻って来た。

 …………えー?

 無意識に悪魔に戻った?
 読心魔法……頭の中は『わん』だけに戻っている。
 ホントにこいつはどうしてしまっているのか。
 治療法を見つけてやった方が良いんだろうか。

 しかし魔王軍、人類虐待派閥の置き土産みたいな奴だ。
 藪を突いて何が出るか分からんし……

 ……本人が困っていない様なので、後にしよう。

 子供達に通信。集合して貰う。
 午後どうしていたか聞きたい。
 こちらからも世間の状況を説明しておこう。



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