黒鷲の旅団
24日目(5)庇護の羽根

「あっ、黒鷲の羽根!」
「カッコイイ!」

 黒く染めたグリフィンの羽飾り。
 どうやら大好評。

 彩色魔法による染色。
 ヘリヤとシャンタルに手伝って貰った。
 運搬までお手間をかけて。
 これは代金が必要だな。

「ウィッヒッヒ、それはもう。
 頂ける物さえ頂ければ〜」

「今後ともご贔屓に〜。
 ウェッヘッヘ」

 わざとらしく悪い顔。
 商売人めいた手揉み手揉み。
 素直に感謝し難いなあ……

 納品は、とりあえずの100個。
 染色と補強込み。代金は1個1千。
 銀貨1枚で如何でしょう。

 うちの子達や俺。
 魔人姉妹、マイナさん、で40個。
 妖精のトゥーリカにはデカ過ぎるか。
 飾っとくから1個欲しい?
 それはそれで構わないが。
 後で代わりに身に着ける物も考えよう。

 花人隊、魔物従者隊、骸骨騎士団で34個。
 あと、研修中の孤児達で30個。

 ……んん、少し足りない。
 4、いや。
 トゥーリカのを入れて5個か。

 誰か、余分な羽根を持ってるか?
 今この場で作ってしまおう。

 まだ公表していない。
 浸透にも時間が掛かると思うが。
 この羽飾りを黒鷲団関係者の証明とする。

 何かあれば、誰かしらの助けを寄越す。
 大人の助けが来る。
 仲間がいるという証明。
 第一印象で悪い大人から身を守る。
 その助けになれば良いと思っている。

 ただ、実力や信頼の証明にはしない。
 誰かが真似して作った場合。
 これを悪用出来ない様に、だ。
 評価は個人個人で勝ち取って欲しい。

 実際、レベルもマチマチだしな。
 まだ4歳のニノンなども居るし。
 皆にアンヌと同じ戦果を求められまい。

 ともあれ、羽飾りを配る。
 帽子がある子は帽子に。
 まだ無い子は胸元に。

 それと、冒険者の認定証は……

「まだ早いよ」

 早々にヴラスタから否定された。
 ジュリオやヨティスは残念がるのだが。
 ロジェやバートも無言で頷く。

 まあ、もう少し見送ろうか。

 何にでも勝てる様に……
 などと言っては荒唐無稽だが。

 逃げを決めてから逃げ切る力は欲しい。
 逃げ方、身の隠し方。
 引き際の見定め方。

 その辺まで出来る様になったなら。
 俺も幾らか目を離せる。

 さて、今日はどれだけ稼げたか。
 魔法カードに振り込まれる報酬。
 モンスターやらの撃破報酬だ。

 正式メンバーは俺の半額。
 で、各20万程度の均等分配。

 外縁メンバーは更に半額。
 しかし各10万ちょっと。

 これを元手に……
 それだと、辛い? 辛いか。

 孤児達に別途、授業料を出す。
 魔法の授業料を10万ずつ。

 魔法の習得料金を含めた1回の授業料。
 これがおよそ5万だ。
 必ず通信魔法。
 それともう1つぐらい何か。
 お金を出すので通信魔法を覚えて下さい。

「俺、魔法より剣を覚えたい」
「俺は武器買いたかったー」

 ヨティスにヒューゴ。
 あー、うん……分かった。
 まず通信魔法だけ取って。
 残った5万は好きにしても良い。
 でも、通信魔法は覚えてくれ。絶対だ。
 最後は剣士になっても良いけど。
 便利だから。絶対。

 バートが補足してくれる。
 集合の時に声が聞こえただろと。
 そう、これに返事したい時。
 自分にも通信魔法が必要になる。

 そっかー、とグンター。
 必要なら仕方ないよ、とレイモンド。

 どうも魔法の習得に乗り気でない層が居る。
 宗教上の理由? ではなく?
 魔法使いは何となく弱っちく見える?
 強い、が、カッコイイ。
 この傾向は、何だ。流行か。
 時代や文化レベルも背景にあるだろうか。

 冒険はもういいよ、とリッツァやシャノン。
 勿論、冒険者でない道を選ぶのも自由だ。
 ただ、何かあった時、助けを呼べるから。
 通信魔法は覚えてみて欲しい。

「ああ、そうだよ。
 怖い思いをさせてしまった。
 すまなかったね、頼りなくて」

 輜重隊の馬車から魔女ヴァウラ。
 キース隊に付き添っていた。
 盗賊に殴られたんだった。

 傷は治癒魔法で治したが。
 他に異常は無いか?
 頼りないだなんて。
 こちらの不注意もあった。
 給金は満額払うよ。

 引率の上級魔女。
 彼女の他に、カトラとアンブロシナ。
 魔女派遣費用は3×20万。
 計60万をお支払いする。

 それと研修孤児チームが計30人。
 ここに追加で各10万。
 学費、魔法を教わる費用だ。
 計300万を捻出する。

 残高504万。
 まだ余裕はあるものの。
 もっと収入も欲しいな。

 今日は特許料の回収がまだだった。
 現時点、シャンタル達は。
 用意して来ていないか。
 フレスさん達が忙しい。
 審査結果を受け取れていない。

 忙しい魔女協会。
 現在、対策会議を行っている。
 魔王バティスタン軍への対策。
 奴らの大規模魔法や兵器について。
 続けざまに使われて目に余る。
 どうしても対策が要る。
 シュテルン内乱対応との板挟みになる前に。

 会議の進捗は俺も気になる所だ。
 少し早いが、俺達も引き上げよう。

 ゴハンはー、とバート隊のチビッ子達。
 分かった分かった。
 まだ解散じゃないよ。
 昼食は魔女協会の敷地に戻ってから。



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