黒鷲の旅団
29日目(15)増築計画
「増築。増築ね。うん。
今度は負けないの作って良いよね」
負け……そうだな。
負けない奴でお願いします。
昼食を兼ねて、以降の打ち合わせ。
駐屯地の復旧と改築について。
ジュス姉さんから1つ要望が付いた。
負けない駐屯地を作りたい。
竜にも、大砲にも、だ。
そもそも、駐屯地に向けた砲撃。
姉さん的には不満があったのだろう。
砲撃の目的は印象操作だった。
竜に燃やすまでも無いと見せると同時。
無傷では村からの印象が悪い。
こちらも損失が出たので、のポーズ。
姉さん、そこに理解は示してくれたものの。
創造が本分の魔人。駐屯地も作品の内だ。
壊されて良い気分でないのも分かる。
今度はもっと頑丈に作ろう。
竜が乗っても大丈夫……は言い過ぎか。
まあ、対ブレスの防火措置ぐらいは。
今後は村人の避難受け入れも前提とする。
避難所が頑丈な分には妬まれまい。
ロジェから挙手。村の反応について。
亜人種に差別的な村人も居る?
そうか。だが、大丈夫だ。
普段は基本的に不干渉で良い。
頼るのが嫌な奴は素通りさせる。
選ばせる。嫌なら出てけの方向で。
形状は半円状に東半分。
外部からの賊だの魔物だのを外壁で止める。
村の南北から西は開けておく。
山側へ人類領域を広げると竜を刺激する。
頑丈にするっても対立は望まない。
賊や魔物への対策は別に考える。
避難経路。街道沿いに北と南東に門。
それと地下道を作ろう。2本ぐらい。
村と駐屯地を繋ぐ地下道を2本。
と、駐屯地から外に逃げる地下道とか。
まあ、上が出来てから段々考えても良いが。
「下に掘る余地を残しとくんだね。
えーと、図面。図面描ける子。フリーダ。
ちょっと手伝っ……あー、ごめん」
「もふぇう?」
呼ばれて振り返るフリーダ。
まだ食事中。ほっぺがリス状態。
そんな口いっぱいに頬張らなくても。
焦らんと、続きは食べてからにしよう。
昼食。メインメニューはジャーマンポテト。
野菜ゴロゴロたっぷりスープ。
コーンとジャガイモの炒め物とか。
小麦が乏しいのでイモで量増ししている。
肉も入ってるし、満足度はまあまあ。
「違うイモだった」
食いしん坊ツェンタの感想。
フライドポテトのが良かった?
こっちはこっちで美味いか。
食事を取りつつ情報共有を続ける。
村の家屋に向けた修繕魔法は上々。
家の中身はともかく外観が元通りだ。
うちも頼むと頼まれ続け、結局全軒回った。
建物をあらかた元通りにしてしまった。
家具などはまた用意しなきゃならんとして。
少なくとも、今夜夜露に困る事はあるまい。
駐屯地も修復を手伝うが。
先に図面が出来てからかな。
移転する建物が出て来るかも知れん。
薬師の弟子……とりあえず拘留中。
これは遠からず釈放される見込み。
「キモい賢者はー?」
カーチャ、それはアレスの事かね。
ギルドの支部長に運ばれていった。
今日の所は戻って来ないだろう。
あと、それ、絶対本人に言うなよ?
よしんば本当でも聞いたら怒る。
怒って……暴れるとか。
相手のが悪くても怪我するのはコチラだ。
余計な怪我をしたものではない。
公女と山へ行ったチームは?
ユッタ、イェンナ、フェドラ。
加えてマルカ、ニノン、マリッタと。
既に顔見知り3人+竜人族3人。
竜を刺激しない様に、だ。
子供達もなかなか慎重な人選をした様だ。
竜はどうだったかな。
「えーとね、お肉食べてた」
ユッタから。それは良かった。
竜は手土産を受け取ってくれた様だ。
「小さいドラゴンさんだよ〜」
「えー、見たいー!」
「あたしも見るー!」
フェドラが記録・転写・錬成・製紙魔法と。
見て来た子竜の姿を紙に写している。
俺もチラ見する。大分レベル上げてるな。
記録・転写魔法の精度が高い。
みんなを喜ばせる為の努力。
治癒や攻撃魔法なんかも磨く一方で。
天才肌の一方で努力量も褒めたい。
さて、みんなもう食っ……まだか。
急がなくていいから。ゆっくりなー。
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