黒鷲の旅団
30日目(3)正しくご使用ください
「おっと、そだそだ。傷病者」
「病人かもだもんね」
呼び止めて、戻るヘリヤとシャンタル。
俺から2人に免疫魔法を強めに付与。
改めてお願いします。
2人に頼んだのは傷病者の保護。
盗賊ギルドから引き取った子供達だ。
酒場の裏手に、確かに転がされていた。
俺も行き掛けに軽く症状を見診たものの。
見落としがあるとマズイ。
詳しい検査は専門家にお任せする。
お任せして、フレスさんを待つ。
魔法特許、昨日申請した件を確認したい。
魔女協会受付。少しバタバタしている。
客で賑わっている、ではないな。
ホウキに乗って次々に飛び立って行く。
何人かは戦闘装備だな。
胴に皮鎧、腕に丸盾、背中に剣。
指揮を執っているフリアさんに聞く。
街道沿いの魔物の掃討支援らしい。
国から直接依頼が来た?
ホウキの飛行は生身より速いとかで。
機動力を期待されている様だ。
「お待たせしました〜」
ふにゃっと笑顔のフレスさん。
装備はフリアさんと同じ戦闘仕様だが。
この人の笑顔は緊張感を削がれる。
悪い事ばかりでも無いけれども。
魔法伝承料、売り上げは。
Sクラスが7件。210万。
Aクラス48件。960万。
Bクラス61件。610万。
Cクラス23件。115万。
次いで魔法特許申請の件、確認。
反転魔法、補助Sクラスに認定。
魔法消滅魔法、補助Aクラス。
傍聴魔法、生活Aクラス。
強塩基魔法、攻撃B。
調息、撹乱、枯渇魔法、補助B。
整腸魔法、治癒B。
幻滅、想起、生活C。
新規申請は酔覚魔法……
何かフリアさんに二度見された。
あと豪雨魔法を申請してなかった。
「あれだ。乳めくる魔法」
人聞きが悪いッ、と振り返れば。
いつ来たのかイーディス公主。
俺より先に居た?
魔物掃討の依頼ですか。
あと、魔法も買いに来た様だが。
聞いていたフレスさんが怪訝な顔。
公主、ジェスチャーで説明。
上から、バーッて来て、すとーん。
やめれ。事故だ。そういう用途でない。
フレスさんが渋い顔になってしまった。
というか公主、またビスチェドレス姿。
お気に入りか知らんけど危機管理は。
……ダメだ。話題を変えよう。
魔女達の視線が痛い。
葬儀の件。道中、通信もしていた。
そちらは手筈通りに。
今日の捕虜引き取りは。既に済み。
立て替えられた代金を払おう。
健常者2人、20万。倍値の40万。
欠損あり9人、18万。倍値の38万。
支払いは計78万……欠損者が多いな。
何か戦況でも悪かったのだろうか。
引き取り先は。大多数は決まった様だ。
神聖教会や貴族支援の孤児院へ。
ただ、一部の子が庇護を拒んでいる様子。
欠損者1名が半魔。
健常者1名が半竜人。
これはうちで引き取る様かな。
まあ、まずは会ってみないと。
それと……大ガーランド派。
派閥構成員について知りたい。
後でリストを作ってくれるという。
何か、頼み事ばかりで悪いな。
「いやいやいやいや!
ホント凄い助かってるから。
あんた出る度に治安値回復するし。
外交値もモリモリ改善されて。
あー、でも外交。1個お願いあった」
お願い。俺に出来る事であれば。
公主から俺への要件。
アーデルハイト女王と会見する。
これに同行して欲しいという。
宰相とか文官のお歴々も同行するだろう。
不安という事は無いと思うが……
ヴィン兄やリュドミラちゃんか。
あちらも担ぎ出す、であれば。
俺が繋ぎに入った方が早いか。
うん……俺も行きたいな。
先日の勇者の件で文句もあるし。
子供らの顔見せをしたい。
誰ぞ気に入られれば支援だとか。
安全はともかく容赦は得られるかも。
行く。として、先に葬儀だ。
公主も賛同者を連れて参列する様子。
俺は城に残ってる子2人を回収しよう。
酒場裏からの傷病者は魔女達にお任せ。
費用が出る様なら言ってください。
昼食時にでもまた落ち合う方向で。
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