黒鷲の旅団
30日目(18)痛烈にカウンターアタック
「死ねやあ!」
ポータルから出るなり殺気。
俺はサイドロールで回避。
同時、魔法設置罠。溶断魔法。
溶鉄が鋭く宙を走った。
襲撃者の腕を跳ね飛ばす。
苦痛に顔を歪める襲撃者。
こいつはジェーの仲間か。
軽食を済ませた後ブラショヴ王城へ。
どうやら待ち伏せされたな。
ポータルの周囲に敵だ。敵反応が5。
ジェーの仲間、ディガーの一党。
仲間をパンイチにされた仕返しか。
昼間解析して、名前は大体知っている。
倒れ込む襲撃者は魔法剣士ゾーン。
その陰から刀使い、剣豪シラハ。
刀は鞘。居合い使いか。
俺は迎撃。出先を狙う。
拳銃抜き撃ちのバースト3連射。
シラハ、超反応で斬り払う。
払うが刀も折れて飛ぶ。
「んっ! 分解魔法!」
粉砕魔法だよ。
元素結合分解は高レベル過ぎて使えん。
若干、足を止めたシラハ。
すぐに次の刀を出して来る。
貴重な相棒ではないらしい。
囲まれたくない。通路へ後退。
後退しながら連射、掃射。
拳銃から短機関銃に持ち替える。
超反応して、しかし被弾するシラハ。
射線が読めても手ブレには非対応。
3割4割の被弾は避けられない。
シラハには付与魔法が徹らないか。
物理回避に自信。逆に対魔法が不得手。
対抗装備を付けていると見える、
短機関銃。小口径・小ダメージ。
それでも被弾。嫌だろう。
絶対的な自信がゴリゴリ削られる。
シラハの表情が忌々しげに歪む。
ダメ押しに散弾銃。フランキ・スパス15。
勘の良いシラハは横に飛び退いた。
追って来ていたゾーンがモロに食らう。
燃料魔法付与。さながら焼夷散弾。
先に溶断が徹ってのチョイスだ。
ゾーンは燃えながら転げ回る。
シラハが態勢を立て直す間。
俺は距離を取る。
取りながら、後ろに閃光魔法。
「ぶっ!」
どこかに居るのは分かっていた。
探知反応6人目、ジェー。
ハイディングスキルで潜んでいた。
閃光でそれも解けた。
振り返って散弾銃を見舞う。
こいつは対射撃障壁持ちか。
射撃が弾かれる。
付与の燃料魔法だけ徹った。
単純にファイアボールで着火。
「あっ、ああああ!」
「えげつないマネを!」
激しく炎上するジェー。
それを横目に追って来るシラハ。
短機関銃掃射。止まらん。
被弾に構わず突っ込んで来る。
「押し切!」
らせるか!
下がりながら石柱魔法。
石柱。下から。
シラハはこれを一刀両断する。
するが、振り切らんと斬れない。
返しが来る前に撃ち抜く。
無防備になった肩口を狙撃。
「うがっ!」
狙撃銃で短距離射撃だ。
まあまあ痛いだろう。
肩を抑えるシラハ。
すぐには追って来れない様子。
多数の称号バフ。
パラメータに複数のボーナス。
レベル差に対してダメージ自体は徹る。
ネックとなるのは装備の差だ。
一発でも貰うと致命的だな。
まあ、勝てなくとも。
この場に大事な子供達は居ない。
即座にどうこうされる事は無い。
負けるとして、負けるなりにだ。
せいぜい深手を負わせよう。
手出しが割に合わないと思わせる。
こうも戦端を開かれて。
この期に及んで話し合いもあるまい。
こちらの我慢にも限度がある。
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