黒鷲の旅団
3日目(3)リベンジマッチへ向けて

「ど、どう? どこ行く?」
「あっ、何か居るよ。やっつける?」

 ユッタ、マリナ落ち着いて。
 まずは索敵、周囲の把握から始めよう。

 ユッタ達を連れてフィールドへ出る。
 まずはモンスター相手に練習開始。
 遠目の敵から狙いをつけてみよう。

 ユッタは止まって狙う分には、見事な腕。
 ただ、移動射撃は苦手か。
 段々に慣らせばいいと思うのだが。

 さて、動いて撃つ場合だ。
 自分の揺れ・動きも勘定に入れる。
 短い銃でも、基本は同じだよ。

 手本、拳銃はスーパーブラックホーク。
 6連射ゲットオフショット。
 立て続けに6匹沈めて見せる。

「は、早いね……」

 練習してきたつもりだったユッタ。
 全然甘かったと再認識した様子。
 狙撃を、実践を続けていく。
 もっと早く、速くとぶつぶつ言いながら。

 イェンナはユッタ程には上手くないが。
 それでも、弓より銃が性に合った様だ。
 動きながらでも当てる。動体視力は良い。

 フェドラの弓はなかなかに器用。
 ゴブリンの目を狙う。何匹かは即死だ。

 マリナは一見大人しいが、対抗意識かな。
 一撃で倒せないのがもどかしい様子。
 矢を2本番えて放った。
 技術より力の伸びが良いのだろうか。

 俺が全部撃ち殺しても練習にならない。
 ある程度は子供達に任せつつ。
 俺は俺で弓を練習してみる。

 ショートボウは火力が足りん。
 ボウガンは貫通力が良い。
 しかし装填に手間が掛かる。

 倒し切れない分、阻害魔法を厚く。

 閃光や凍結、神経魔法は足止めになる。
 一方、精神魔法で眠らせたとして。
 攻撃すると起きてしまう。

 幻覚や魅了は、そもそも足が止まらない。
 特性を覚え、考えて使う必要がありそうだ。

「うわ、来た! ゴツイの来たよ!」

 索敵班トゥーリカ。
 武装ゴブリンの群れが接近中。

 神経、精神魔法で迎撃。
 パタパタと倒れるゴブリン達。
 レベル上げただけ効きが良くなった様子。

 大多数を行動不能にしておいて。
 端から斬り捨てに掛かる。
 足にオオカミが食い付いて来て邪魔。
 蹴飛ばして排除。
 ユッタに迫ってる奴が邪魔。
 手斧を投げつけて排除。

 精神魔法で寝てる奴に錬成魔法のタール。
 サンドラちゃん、ファイアファイア。
 トゥーリカも参加して。小さくても着火。
 お前ちゃんもレベル上げておきたい。

 盗賊……サンドラが追い散らす。
 以前攫われ掛けたリベンジ、のか。
 執拗に雷撃を浴びせる。
 俺より先に壊滅させてしまった。

 ユッタ達も慣れて来た様だ。
 相手が盗賊や敗残兵相手でも……
 人間相手でもあまり躊躇わなくなった。
 教育的には少々難ありかも知れないが。
 それでも、まず生き残って貰わなければ。

 川辺で雷撃、リザードマン排除。
 殺人バチには毒魔法が効果的。

 再度索敵して、周辺の安全を確認。
 酒場で受けた依頼、素材の採集も済ませる。
 一旦休憩を入れ、サイクロ討伐の用意へ。

 休憩。腹ごしらえもしたい。
 ストレージから、鍋。
 これは料理スキル付属の初期装備。
 これに炎と水の魔法で湯を沸かす。

 集めた魚やキノコ、獣肉も入れてスープに。
 味付けが心許ないな。
 錬成魔法。どうにか塩なら出せる。
 薬草類から香辛料を調合。臭みを消そう。

「美味しいね」
「はふはふ、あちあち」
「んふぅー、んまいんまい」

 みんな楽しんでいる様で、何より。

 ふと、サンドラちゃんも火を借りたい?
 スープと並行して、薬草の調合を行う。
 見ていたら調合・薬学スキルが発生した。
 俺も手伝えるだろうか。
 何かお勧めのレシピとかある?

「キノコのエキス。これはね、滋養の薬。
 疲れた時、あと夜のお供。ぐひひ」

 どこでそういう事を覚えたんだかね。
 魔女か。先輩魔女達か。

 さて、腹ごしらえが済んだ所で、相談。
 俺はサイクロプスにリベンジしたいけど。

 子供達は難しい顔。そうだな。
 手っ取り早く稼げる相手だが。
 ただ、危険度。手っ取りヤバイのも確かだ。

「うーん……私も、やっつけたいかな」
「お金稼がないとだよね」
「えー、でも、心配だよ」
「何か作戦とか、あるの?」

 鈍重な相手だ。みんな離れて撃てば良い。
 俺が掴まれなければ大丈夫だと思う。
 散々に準備して、遠くから攻撃する。
 倒し切れなかったら、その時は逃げよう。

「そ、それなら……」
「うん……」
「やってみよう。私達、強くならないと」



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