黒鷲の旅団
3日目(4)一つ目巨人×2<子供達

「あったよー」
「これ使えそう」
「こっちはぐにゃぐにゃだ」

 うーん……ぐにゃぐにゃは止めとこうか。

 サイクロプスを倒す準備をする。
 まずは追加の矢を作る為、木切れを収集。
 矢羽になる物が無いな。
 回転させないと真っ直ぐ飛ばない。

 俺は少し思案して。
 初期の習得可能スキルリストを開く。
 工作、木工スキル。
 この辺で木材を加工してみよう。
 器用なイェンナも隣に座り、真似し始める。

 木片を割り、ダガーで切り込んで加工。
 幾らかの突起や螺旋状の溝で……どうか。
 フェドラが試射、問題無いと。

 それより、手ごたえが足りない?
 一撃では倒し難いのはフェドラも同じか。

 長弓、ロングボウを作ってみよう。
 どこかに良さげな木は無いか。
 ユッタとイェンナが見つけて来て加工。
 3つ……俺の分も欲しい。
 短弓とはカテゴリが違うらしく。
 新規で武器スキルを取る。

 あとは矢の方も。
 錬成魔法から鉱石を出す。
 携行炉と炎魔法。
 鉄を精錬し、鉄矢を鍛造する。

 重くてあまり数を持ち歩けない。
 これは必殺の武器としよう。

 重くて……弓兵チーム、重くない?
 そもそも飛ばせるか?

「ん、ん、んしょっ!」
「なんっ、とか〜……んぃっし!」

 重さ的にはギリギリ使えそうか。
 俺も長弓を試射。
 フェドラが褒めちぎるのだが。
 多分、お前ちゃんの方が上手いだろう。

 さて。じゃあ、行ってみようか。
 土魔法で焚き火を消し、移動を再開する。

 が……探すと居ないんだ、これが。

「ちぇー、稼げると思ったのに」
「でも、お金入ってるよ?」

 口を尖らせるイェンナと。
 マリナ、何だって?

 ポケットからカードを取り出すマリナ。
 魔法仕掛けのマネーカード。
 出掛けに女将から貰った?
 無等級の冒険者認定証もあるって?
 ユッタ達、サンドラと。おや。
 トゥーリカも持っていた。妖精サイズ。

 事情を話したら、気を回してくれた様だ。
 これは後で、俺からも礼を言わないと。

 で……入金は。
 モンスターなんかの討伐報酬。
 ゴブリン1匹銅貨10枚。
 オオカミ1匹銅貨5枚とか。

 俺のもいつの間にか入金されている金銭。
 敵兵やモンスターを倒した報奨金だが。
 これが仲間にも支給される様だ。
 恐らくパーティを組むのが条件だろう。

 残念ながら、俺と同額ではない。
 神人の半額程度といった印象だが。
 それでも子供が4人。
 総額は俺の倍になるのか。

 さて、ザコを掃除しつつ。
 サイクロを探してウロウロ。
 居るには居たんだが……2体?

「どっどどどどど!?」

 サンドラちゃん大混乱。落ち着け。
 ユッタ達はむしろ正気だ。
 先に慌てた人のお陰かな。

 俺とサンドラで怯ませる。
 射手は他に居る。
 みんな、当てにさせて貰うぞ?

 まずは狙撃で弱らせる。
 閃光魔法の射程に誘き出す。

 射程内。魔法用意、サンドラと俺。
 閃光・神経魔法を連射。
 勿体無くても両方止まるまで連射だ。

 距離が詰まる。
 全員、後退しつつ射撃継続。
 なるべく目を狙え。
 標的を左、1体に集中する。

 投擲、片手半剣。これを避雷針に。
 サンドラとトゥーリカの雷撃で感電。
 鉄矢と水魔法追加、更に雷撃。
 1体目が感電死。

 横からゴブリンが。自動拳銃で排除。
 マリナが息切れ。活力魔法で支援。

「あっ、起きるよ!」

 トゥーリカ、よく見てた。

 あと1体。阻害と射撃。
 痛がって暴れる。後退。
 凍結で動作を鈍らせ、毒で弱らせる。
 周辺から出るゴブリンがウザい。
 幾らかは隠密魔法でやり過ごすか。

 強酸は……ダメだ。かえって暴れる。
 神経麻痺。閃光。
 銃弾が切れた。弓。鉄矢。雷撃。

 鉄矢も無くなった?
 錬成魔法、タール。
 木矢にタール付けて炎魔法で着火。
 火矢の雨を降らせ、燃やす。

 サイクロプスの暴れる腕が迫る。
 ユッタの手を引いて強制回避。
 鼻先を拳が掠めた。怖い。

 ええい、くそ、まだ動くな。
 神経魔法、精神魔法。

 木々をバキバキ巻き込んで。
 どうにかサイクロプス轟沈。
 少々嫌な汗も掻いたが2体撃破だ。

「お、お、おしゃー!
 りべんじゃああああ!」

 サンドラちゃん、雄たけび。

「やった……倒せちゃった……」

 ユッタ、自分でも信じられないという顔。
 マリナやフェドラ、イェンナも。
 ハイタッチで喜んでいる。

 まだ日も高いが……良いか。
 気を張って疲れた。帰ろう。
 道中拾った物もある。
 依頼の納品も済ませたい。



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