黒鷲の旅団
31日目(11)任せるにも程がある

『ごめんごめん、ライブ中でさ。
 後で聞くから上手い事やっといてー。
 騎士団と近衛隊も使って良いし。
 何だったら適当な領主を動員して』

 ちょっ、おーい……
 まさかの全権委任だと。

 公主に通信した。
 住民扇動や村落への攻撃の件。
 内乱を誘発している奴が居る。

 しかして、イーディス公主。
 隣国で狼藉勇者を処罰中。
 すぐには戻って来れない様子。

 為政者だが配信者。
 字面だけ見れば政治のが優先だが。
 唯人より異世界人の方がタチ悪い。
 奴らに釘を刺すのは急務だ。
 国際裁判中にテロが起きた様な物。
 急に帰るっても段取りが要る。

 それにしても、他に誰か居らんのか。
 サナトス、イェルマインは仕事中。
 ランスロット、アシュリィ、ダメか。
 純武将タイプで戦略指揮が出来ない。
 他の領主プレイヤーは腕前が不明。
 直近、俺がやるしかない様だ。

 悪化は防ぐが鎮圧に至るかどうか。
 なるべく早く帰って来てくれよ?

 村のポータルが使えん。
 帰還スクロールで俺の家に行く。
 次の出動は元鉱山町からだな。
 キャスティーナ邸より若干近い。

 俺はポータルから首都へ。
 経費請求の約束はしてある。
 ケンタウロス達に物資調達指令。
 対戦車兵器が要る。
 資金は立て替えで3千万。
 買えるだけ買っといで。

 子供達は魔女授業へ。
 特に新人だ。通信魔法を完備したい。
 単に避難させといても良いんだが。
 声掛けが出来ないと呼びに来てしまう。
 戦場に……だと、マズイ。

 村からの子も可能なら授業受けて。
 魔女さんらに特許料の清算依頼。
 後で戻った時にお願いします。
 授業料の支払いもその時に。
 授業する間、俺は王城に向かう。

「命令はこちらにも来た。
 必要な事があったら言ってくれ」

 騎士団長、も戸惑い顔だが。
 指揮下には入ってくれる様子。
 敵の情報は聞いている?
 まあ、無理はさせませんので。
 戦車に歩兵を突っ込ませたりしない。

 騎士団は首都防衛だ。
 近衛隊は警備巡回の強化。
 もし内乱の最終目的が国家転覆なら。
 村に兵を送る間に城を取られる。
 探知範囲に敵反応は無いものの。
 用心に越した事は無い。

 騎士団・近衛隊は領土防衛に回し。
 村をどう取り返そうか。
 他に動員出来る兵力が欲しい所。
 動員……どうやるんだった。

 権限を借りてシステムコマンド。
 前に領主代行のウインドウを見た。
 かろうじて勝手が分かる。

 公主の、玉座……は、気が引ける。
 宰相ブランドナーと執務室へ。
 執務ポイントからアクセス。
 領主ウインドウ、派兵要請コマンド。
 誰か助力を得られないか。

 反応した勢力は大小12。

 公主代行に対して指示に従う。
 支配地域、国内の領地が3つ。

 組織系は魔女協会、神聖教会。
 この辺は当事者みたいな物。
 疫病や市民攻撃の疑いを晴らしたい。

 報酬次第という所が幾つか。
 これは見送る。予備戦力。
 首都を攻められたら声を掛ける。
 他人事でなければ自発的に動くかも。

 それと国外戦力からも3つ。
 ……国外? 

 1つはリュドミラの直属。
 国境警備中の騎兵隊。
 友好勢力の危機に助力を、と。
 ちと遠いのでまたの機会に。
 お気持ちだけ感謝と返答。

 で、あと2つが魔王軍だと?
 魔人ジェニフェレーヌさん。
 そういや遊びに来てたな。
 魔人ブランディエーヌさん。
 何でこんな所に居るの?

 えー……うーん……魔王軍。
 魔王軍の力も借りよう。
 謝礼次第で大した借りにもなるまい。
 声を掛けなくて遺恨になってもな。

 連中、怖いは怖いけど。
 やめろと言ってやめる物でなし。
 矛先が向かない様に腐心する。
 細かい交流で好意的関係を築く。

 神聖教会との共闘。
 ややミスマッチではあるが。
 休戦中との名目もある。
 上手く行けば敵は板挟みになる。
 言い逃れしても逃げる先が無い。

 国内戦力は、一方を後詰に。
 事が済んだら捕虜を運んで貰う。
 もう一方は巡回警備を依頼。
 散開して反公主勢力を捜索。
 杞憂の可能性も捨て切れないが。

 あと、キャスティーナさんの隊。
 隣の村へ行っていた。
 神父は捕まえられただろうか。
 通信。何か分かりましたか?



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