|
黒鷲の旅団
31日目(23)待ってもう少し
「うあむー」
教会の子デリツィアが眠そう。
そうだよな。眠いな。
もうちょっと我慢だ。
転送されたダンジョンの中。
野営の為、安全の確保に掛かる。
最初の部屋で夜明かしも考えたが。
最初の部屋。スタートポイント。
同じ所に人を送り得るのではないか。
同じ転送手段でそこに出得る。
他に誰が来る。例えば刺客が。
取り越し苦労かも知れないが。
希望的観測に賭ける根拠も無い。
立て籠もったつもりが背後を取られる。
予見してそれでは唯の間抜けだな。
立て籠もるなら別の部屋にしたい。
それで移動を開始したが。
もうすっかり夜だ。
子供達が眠そう。
ユッタでも目を擦っている。
もう少し……この辺りだと思うんだが。
空間魔法。空間把握。
脳内マップ情報。
通路と小部屋の並ぶ迷宮。
通路の途中に小部屋がある。
ある、ハズなんだが。
マップにあって視界に扉は無し。
恐らく隠し部屋だろう。
通常の部屋よりは安全と思われる。
侵入の糸口を見つけたい。
壁に解析魔法。ギミックを探す。
「ん、失礼」
後方のアウローラさん。
結界の軌跡で障壁を作る。
作った障壁に掌底。
何か術を放って押し出した。
障壁が通路を塞ぎながら滑って行く。
少しして、悲鳴。断末魔。
僅かばかり振動が伝わって。
脳内ログ、撃破情報。
経験値やら加算される。
障壁で後方の敵を押し潰したらしい。
ログ。ゴブリンの集団が3個小隊程。
頼もしいやら怖いやら。
気を取り直して、捜索。
解析魔法を繰り返し試す。
見つけた。ギミックだ。
レンガを1つ押し込む。
扉が開いた。中は小部屋か。
狭い入口。屈まないと入れないか。
すぐに入ろうとするユッタ。
引き留める。罠は。
探知、空間、解析魔法。
罠や待ち伏せは無いか。
入って良し。
もそもそと潜り込むユッタ。
お早く、とアウローラさん。
次のゴブリンチームが迫っている。
ゴブリン……ゴブリンか。
数が多いので脅威になり得る。
それでも倒せるだけマシか。
周辺の敵。レベルは20〜30ぐらい。
野良よりは若干強め程度の魔物。
個々は倒せなくもない。
ただ、固まって動いている。
護衛対象が居るのだ。
戦い方は考えなければならん。
1匹すり抜けられると死人が出る。
安全地帯を探して子供を隠して。
敵を掃除してまた移動、か。
眠いデリツィア。
ジャンパオロとコンツェッタ。
子供を小部屋に押し込んで。
アウローラさんは。俺が先だと。
ゴブリンを掃除して来るという。
まあ、入る所を見られたくもない。
俺も小部屋に入る。解析。
内側からの開閉ギミックを探す。
と、探すまでもなかった。
出っ張ったレンガが1つ。
解析。開閉ボタンだと表示。
探知情報。敵影が消えた。
アウローラさんを呼ぶ。
彼女が飛び込んで来て。
ボタン。入口を閉鎖。
アウローラさんが結界を張る。
何となくでも魔物が近寄らなくなる。
しかし見張りは見張りで必要か。
結界が阻むのは魔物だろう。
人間の刺客が来る可能性がある。
俺は小部屋に隠密魔法。
小部屋をマップ上から隠蔽する。
高次の解析を食らうとバレるが。
非解析アラームでこちらも気付く。
後手に回る可能性は減るだろう。
小部屋。2m四方といった所。
6人転がるには狭いか?
この際、仕方ない。
デリツィア……もう寝たのか。
ユッタもウトウトしている。
子供達を休ませる。
大人は交代で休む様かな。
アウローラさん、お先にどうぞ。
俺はもう少し周辺情報を解析したい。
前へ
/黒鷲の旅団トップへ
/次へ
|