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黒鷲の旅団
32日目(2)敵地の朝
「おはよう」
ユッタが小部屋から這い出して来る。
起こしてしまったか。
いや、お腹が減ったのかな。
くう、とユッタのお腹が返事をした。
ここを片付けたら朝食にしよう。
アウローラさんを起こして来てくれ。
寝泊まりした小部屋は狭過ぎだ。
別の部屋に移動して朝食を取りたい。
その為に、まず安全確保する。
ダンジョン内。
時間経過で再配置される魔物達。
魔物除けの結界も張ってはあるが。
姿を晒せば寄っても来る。
周辺の魔物を一度掃除して。
再配置には時間が掛かる。
その合間に移動しよう。
身支度を待ちながら迎撃を継続。
俺は弓を使っていた。
子供達をなるべく起こさない様に。
それでもユッタは起きてしまったが。
狭いダンジョン内。
長弓は取り回しが悪いかな。
閉所、小部屋には向かない。
通路の直線なら使えなくもないか。
銃もそうだ。使い様だろう。
探知魔法は遮蔽物で阻まれるが。
曲がり角1つなら透過する。
気を付ければ不意打ちは防げる。
弩。ゴーツフットクロスボウ。
梃子のレバーで弦を弾く。
再装填は確かに楽だ。
しかし弦を素手で引けたなら。
このレバーは逆に邪魔かなあ。
いや、物は考え様か。
手で引けない強度のバネを使える。
そういう強度のバネを使えば。
使う。まず作れるのか。
素材から探さないと、かな。
淡々と、近い順にゴブリンを排除。
魔物除けで阻まれている。
阻まれているが、抵抗して来る。
浄化の力に焼かれている様にも見えるが。
焼かれながらも突っ込んで来る。
連中はどういう心境なのか。
その敵意・害意はどこから来る。
ダンジョンの力で操られているとか?
分からん。分からんが。
耐性を持った個体が居たら怖い。
焼かれるに任せず排除だ。
俺はダンジョンの知識が乏しい。
通信魔法で聞いて回りたい所だ。
午前5時を少し回った程度。
今聞いても起きて居るまいが。
「ふあ……手伝う」
俺の隣に座るユッタ。
まだ眠そうだ。
無理しなくて良いからな。
よく眠れないのも無理は無い。
ダンジョン内。敵地だ。
安全なベースキャンプじゃない。
警戒を保つのは戦士として正しい。
一方で、子供として不健全な状態。
帰ったらよく休ませてやりたい。
途中休憩も必要だな。
大人のペース配分ではダメだ。
急いて命を取り落とさない様に。
自分を戒め、方針を纏める。
「行けます」
背後からアウローラさん。
子供らの身支度は済んだか。
出発、の前にお便所だ。
転移魔法、物品呼び寄せ。
魔法の携行トイレつぼを出す。
小部屋をトイレ代わりに。
交代で済ませてくれ。
と、ユッタも後ろへ戻ってしまう。
ちょっと我慢してたかな。
探知。周辺の敵影消失。
大体片付いたか。
全滅から再配置までの時間。
体感で10分程度。
その10分はフルに使えまい。
何かモタつくのは計算に入れる。
準備は出来た?
はーいの返事が5つ。
子供と同じテンションの大人が居ますね。
まずは最寄りの部屋に陣取ろう。
アウローラさん先行。
移動を開始する。
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