黒鷲の旅団
5日目(9)ユッタ・ハルストローム、
赤面する
「あの、ごめんなさい。
私、今日、感じ悪くて。
なのに、こんな立派な服。
ご褒美なんて、私……」
お前さんは真面目だね。
服装に負けない中身を身につけなさい。
近衛隊になるんだろう?
黙って頷くユッタを撫でつける。
ゆっくり成長すればいい。
見ててやるから。
鍛冶屋に到着。
早速ユッタを見せびらかす。
「おっ、めかし込んで来たな。
未来の近衛隊か?」
「えへへ、まだ分かんないよ。
買って貰っちゃった」
ユッタの顔に笑顔が戻った。
やっぱり家族の顔を見ると安心するかな。
「そうかぁ〜、いつもすまねぇな。
俺に出来る事なら、何でも言ってくれ」
という事なので、幾らかお世話に。
装備品の修理を依頼する。
爺さんの作業を見ていた所。
参考になったのか。
鍛冶スキルが若干伸びた。
それから、廃品買い取り。
拾った装備をインゴットに変換しよう。
戦争が多い為、街では金属類が不足。
金属類が高騰しているらしい。
転移魔法コールストレージ。
分解魔法リソリューション。
錬成魔法クリエイト・メタルマテリアル。
盗賊や何かから回収した廃品を分解。
あるいは塵や何かから鉱石を生み出して。
それぞれから鉄を取り出す。
インゴットに作り変えて行く。
「魔法からインゴットまで、なぁ。
鍛冶にも魔法か。便利なモンだ。
どうだ、ユッタを嫁になんてのは」
唐突にハミルトン。
俺が返すより先にユッタが吹いた。
「も、もう、お爺ちゃんたら。
何言い出すの!」
「お、赤くなったな。
気があるのか? ん?」
「知らない知らない!
道具屋さん行って来る!」
真っ赤になったユッタ。
パタパタと走って逃げて行く。
恋愛とか気になっちゃうお年頃かな。
「おっとと……オヤジさん居るかい?」
ユッタと入れ替わりに来客。
持って来たのはクロスボウと、銃器?
来客は技師ウェルベック氏。
店に細工品を卸しているらしい。
「そうか、君か。
ユッタちゃんの面倒を見てる人だね。
銃を使うと聞いたんだけど。
見てくれないかな。
幾つか複製に成功したんだ」
銃器……拳銃はピースメーカー。
散弾銃はレミントンがあるのか。
銃器は主に神人、異世界人由来。
初期装備として持ち込んで来るのだが。
この世界の技術者達。
それを複製しようと努力している。
俺も散弾銃が欲しい。レミントンM870。
小銃も買っておく。
前のはルーナさんに譲ってしまった。
購入は同じウィンチェスターでもM70。
銃ばっかりでも爺さんに悪いか。
ナイフも新調しておこう。
あとは……俺の義手が見たいと。
整備出来る?
高度過ぎて無理そうか。
しかし研究してみるという。
成果を期待しよう。
置き土産がてら……紙ってあるか?
空間、解析魔法。義手の内部構造を辿る。
トゥーリカに聞いた、記録、転写魔法。
とりあえず三面図で良いだろう。
俺としても、修理が出来ないのは困る。
「凄いな! 中はこうなってるのか!」
「はー、こりゃ面白ぇ。便利なモンだな」
興味津々の2人と別れ、道具屋へ。
道具屋でユッタと合流した。
「お、お爺ちゃんが、ごめんね?」
大丈夫、気にしてないよ。
道具屋で矢弾の補充。
予備のスコープも買い足して。
酒場に行くついでに荷物を預かって。
探知、空間魔法。解析。
他の子達を指す光点が見える。
酒場に向かって行く。
移動速度がゴキゲンぶりを示している。
待たせちゃ悪いな。
俺達も早く向かおう。
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