黒鷲の旅団
5日目(10)明日へ向けた談話
ユッタに先導されて。
酒場に帰ると……何だ?
子供らが整列して待っていた。
「きょきょきょ今日はどうでしたっ?」
「お役に立てたでしょうか。
評価して頂きたく」
評価……評価か。
まぁ、座って話そう。
そんな畏まらないで。
女将に夕食を注文。
待つ間に話をする。
本日の反省点。はい、ユッタ。
「え、え、えっと……
態度が悪かった、です」
うん、それから?
「それから? え、え、えーと?」
気を許していない。
なら、目を反らしちゃダメだ。
安心できる相手にだけ背を任せる。
怪しい奴に目を光らせる。
アクアさんが多少好意的。
歩み寄ろうとしてくれていた様だが。
あとの2人は、ちょっと不安だったな。
ほほー、と感心するイェンナ。
はい、イェンナちゃん。本日の反省点。
「うぇっ!? お、同じ〜。
態度が悪かった、とか」
そうだ、冷静にな。
銃士チームはスコープ持ち。
遠くが見える分、周りが疎かになる。
心身共に、広い視野を心掛けよう。
次、レーネ。反省点はあるか?
「え、えっと……
すぐには、思いつきません」
じゃあ、後に回そう。
考えておいて。
フェドラ、次。
「は〜い!
もっと話せば良かった、です!」
イェンナを構っていた。
ユッタに気が回らなかった。
お姉さん役、フォローが足りなかった。
それはしかし、結果だ。
フォロー役を1人で抱え込まなくて良い。
という事を踏まえて、レーネさん。
「は、はい!
私もフォローします!」
そうして下さい。期待してるよ。
フェドラも、もっと周りを頼ろう。
次、マリナ。
「く、靴に穴が、開いてしまって……」
それはお前のせいではなくて。
装備が不安なのを黙ってたのが良くない。
勿論、母さんの借金が気になる。
節約したい……それも分かるんだが。
助けてやるから隠さずに言ってくれな?
あと、ペトリナとサンドラ。
もうちょっと声を出してみよう。
「あ、あの、でもその……」
「お喋り上手じゃにゃい、もにょ……」
喋るのが上手くない、恥ずかしい。
だったら俺と話そう。
気が付いた事があれば教えてくれ。
トゥーリカも。
食って掛かる前に、俺に言って?
仲間の為に怒ってくれたのは嬉しいんだが。
そのまま叩き落とされたりしたら困る。
「そんなヘマしないけどー。
心配されるのは悪くないね♪」
カリマは体力面が課題。
段々に身に付く。焦らなくて良いが。
マリナの靴と同じだ。
マズイと思ったら早めに言おう。
ティルアのフォローはとても良かったが。
縦横無尽過ぎて、少し隊列を乱している。
フェドラの精神的なフォローと同じ。
全部自分でやらなくても良いんだ。
助け合おう、と……
しかし子供達、少し残念そう。
もっと褒められると思っていたのだろう。
あー、よし、反省点はここまで。
それ以外の所はもう褒めるばかりだ。
総合的に見て、よく出来ました。
これからもよろしく頼む。
と、やった!の声が上がる。
ようやく明るくなる子供達。
よしんばダメでも見捨てたりしないんだが。
サイクロプスも日に9体撃破。
矢弾は自分で買わせているのだが。
それでも子供達の懐に、それぞれ40万以上。
そろそろ家が買えるかな、とイェンナ。
デッカイのを買いたい。
みんなで住みたい、とフェドラ。
デッカイ家、か。幾らぐらいするんだろう。
神人ウインドウ、持ち家システム。
家のカタログを閲覧。
デッカイ家、お屋敷……
小さい物で2千万から。
遠い。しかし収容人数は魅力だ。
俺も金貯めようか。
しかし目標は目標として。
まずは足場固め。
堅実に実績と経験を積んで行こう。
子供達に言い含める。
各自、今日より良い自分になれる様に。
寝る前、明日どうするか考えてみておくれ。
以上、解散。
よく眠って、またここで集合だ。
はーい、と明るい返事。
パタパタと解散する子供達。
……明日を考える余裕がある、か。
大分マシだ。
明日をも知れないより、遥かに。
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