黒鷲の旅団
6日目(10)より遠くまで
魔女の魔法を教えて貰える事になった。
ユッタ達8人の他。
受けてみたいと言うトゥーリカ。
9人分の授業料を支払う。
指導をお願いする。
レベルアップ、魂の強化。
子供達は魔力値が多少伸びている。
少ない子でも2つ3つ。
多い子はもっと覚えられるとヘリヤ先生。
授業の最後に、魔法使用契約。
儀式的な物が予定されている。
神人はウインドウで数タッチだが。
NPCが魔法習得する。
それには、こういった段取りが必要だ。
何を覚えたら良い?とマリナ。
治癒と通信を最優先だ。
何かあったら助けを呼んで。
怪我を治療しつつ持ち堪える。
もっと取れるなら自由で良いのだが……
まずは自分の身を守る事を考えて。
過保護だねケヒヒとシャンタルたん。
そうだよ、過保護だよ。
幾ら保護しても物足りんのよ。
初級授業は受講済みのサンドラちゃん。
自主学習に掛かる様子。
今一度の脱・見習い昇進試験に向けて。
俺は……俺も図書館に籠るか。
借りていた本も読んでしまわないと。
『魔女と騎士』。恋愛小説。
他の子が自習してる中、だ。
恋愛小説を読んでるのも少々気まずい。
通りかかる子達がニマニマしている。
「それ面白いですよね。
私のおススメなんですよー。
魔女を身近に感じてくれると嬉しいです」
ふと顔を上げると、フレスさんの姿。
普段よりテンションが高いな。
どうも、この恋愛小説の大ファンらしい。
健気でキュンキュンしてしまうのだと。
どの辺が面白かったかって?
そ、そうだな……
魔女らしい生活感がある所か。
『パンに防腐魔法を掛けて、さあ出発』とか。
遠くまで行くぞって決意が読み取れる。
「いいですね!
深いトコ突いてます!」
興奮のあまり、手を握られた。
ホント大好きなんだなぁ。
「あっ、す、すいません……」
今度は赤くなる。
慌てて手を引っ込めるフレスさん。
あと何か、お勧めの実用書とかは……
と、ユッタから魔法通信。
通信魔法を覚えさせたんだった。
今回の読書、収穫。
防腐・凝固・融解・蒸留・撹拌魔法。
調合や何かに役立つ魔法。
生活系Eクラス魔法だとか。
地味だが何かに使えるかも知れない。
『魔女と騎士』自体は読み切らん。
もうちょっと借りておく。
追加のおススメを幾つか借りた。
図書館を後にする。
子供達と練習場に集合。
通信魔法を試させる。
好きに喋ってみて良いぞー。
面白がって連発する子供達だったが。
やがて、マリナが倒れた。
「マリナ!?」
「えっ、大丈夫?」
あー、大丈夫。
魔力切れだ。寝てるだけ。
魔力が無くなると猛烈に眠くなる。
俺も最近、分かって来たばかりだが。
口で言うより体感した方が良い。
どれぐらいで眠くなるか。
各自、安全な所で試しておく事。
そろそろマズいと思ったら申告する事。
魔法についてはサンドラ先輩が詳しいぞ。
先輩と言われてテレまくるサンドラちゃん。
頼りにしてるよ。
ぐふふ任せてと怪しい笑い。
……うん、ホント頼むぞ?
えー……マリナが寝ちゃった。
今日は解散しよう。
まずはマリナを負ぶって家まで運ぶ。
探知、空間、解析魔法。
周辺に異常なし。
レーネ襲撃犯、まだ1人逃走中だ。
諦めたとも分からん。
引き続き警戒する。
「ううん……パパぁ……」
背中のマリナの寝言。
ごしごし擦って来るのは、頭か。甘々か。
周りの子供達がニマニマしている。
今日はお勉強、どうだった?
「通信でしょ、治癒でしょ……
あ、あと、もう1個」
「攻撃! 攻撃魔法覚えた!」
「フェドラちゃん5個覚えたよ。凄いよ」
「私は4つです!
いっぱいお役に立ちます!」
みんな頼もしいな。
帰ったら、俺もお勉強だ。
魔法特許の取得に成功。
少なからぬ資金が入って来るのだが。
行き渡ってしまうと途切れる収入だ。
安心せず、次を探して行かないと。
前へ
/黒鷲の旅団トップへ
/次へ
|