黒鷲の旅団
6日目(13)遭難孤児救助隊
〜結成中〜

 イェンナの仲間の孤児達。
 昼間のエリック達だが。
 城門を抜け出した。
 戦場跡に向かったらしい。

 目的は、死体からの剥ぎ取り。
 武器とか剥ぎ取る。
 売り払って金にする。
 それ自体はいつも通りだが。
 時間帯が良くない。

 最近はアンデッドも出るのだ。
 暗くなってからは危険だ。
 それは分かっていたハズで。
 イェンナの仕送りに張り合ったらしい。

 この所、イェンナとフェドラ。
 よく稼いできて仕送りが多くて。
 エリック達も同じくらい稼げたらと。
 今日は戦働きに出ていた。

 しかし、雇用主は金を払い渋る。
 給金自体も高くはない。
 怪我はするし、儲からないし。
 遅れを取り戻そうと無理をしたか。

 稼ぎを見せびらかしてしまった。
 イェンナは責任を感じ、助けに行きたい。
 行きたいのだが1人では不安だと。

 よく突っ走らなかった。
 相談したのは偉いぞ。

『う、ふぇ……おっちゃんんんん……』

 涙声になってしまった。
 褒めたら安心したのだろうか。

 助けられる様に手を尽くそう。
 お前も落ち着いたら酒場に集合してくれ。

 子供達に通信。
 と、もうユッタが駆け込んで来た。
 マリナ、サンドラ。
 部屋からはペトリナ。
 イェンナも通信を回していたらしい。
 迅速に集まって来る。

 みんな一眠りしたか?
 そこそこ元気。
 友達の友達を放っておけない。
 息巻いている。

『おっちゃん、マズったかも!』

 こっちのおっちゃん呼びはティルア。
 そっちはどうした?

 ティルアとカリマ。
 イェンナの通信を貰った時。
 丁度、友人マルカも居合わせていた。

 そのマルカ、同じく張り合った?

 マルカ、村への仕送りを頑張っていたが。
 ティルア達に稼ぎで負けている。
 良い所を見せようとしたのか。
 1人で孤児達の救出に向かった様子

 ティルア、責任感。
 所持金を見せびらかしてしまって。
 イェンナと遠からずの事態。

 お前達も一旦酒場へ。
 もう門の所に居るのか。
 今日の戦場跡だから南門。

 門を出ずに待ってろ。
 ティルアは器用だが。
 カリマを守りながらではキツイ。
 俺達も急ぎ救助隊を結成する。

 酒場にイェンナ到着。
 神父とシスターも一緒。
 活力魔法。まずは息を整えて。
 万全で行くからな。

 神父が衛兵に相談した。
 が、動く気配も無いらしく。
 シスターが神よ神よと繰り返す。
 落ち着いて。

 ユッタの声掛け。
 放っておけんとハミルトン来店。
 友人の鍛冶師アンガスも呼んで来た。

 技師ウェルベックも参戦。
 新発明を試したいという。

 道具屋ドリスが馬車を用意して来る。
 子供達を載せようと。

 あとはガイゼル隊を雇用。
 特にベデリアとサスキアが魔法使いだ。
 霊体相手魔法使いは嬉しい。

 フレスさんにも通信。
 驚かれたが、返事としては快諾。
 すぐ動けるのはフレスさんと。
 ヘリヤ、シャンタル。
 他にも間に合えば応援に来ると。

 他に戦力は無いか。通信魔法を回す。
 イーディス公主は。
 サナトス、カシューさん……
 ダメだ。どちらもお取込み中の様だ。

『おっちゃん、まだ〜!?』
『早く早くっ!』

 ティルアとカリマの通信。
 待ちくたびれている。
 準備が出来た者から南門へ急げ。
 孤児達救出の為、強行軍を開始する。

 衛兵達も、動けないなり。
 助けを断ったのは後ろめたいらしい。
 城門は快く開けてくれた。

『すすすすすいやせん!
 すぐ行きまさぁ!』

『どどどっどどうかご無事で!』

 イェルマイン、マグダレーナ。
 遅れて連絡をくれた。

 連中は騎兵だ。
 後から追い付くだろう。
 何してたとか説明は要らん。
 来てくれるだけ助かる。

「お待たせしました!」
「行こう! 早く行こうよ!」

 魔女達が空から飛来。
 ホウキで飛んで来る。
 ホントに魔女っぽい。

 各自、救助隊まで遭難しない様に。
 突出は避けよう。
 4列横隊でアンデッドを駆逐。
 退路、安全を確保しつつ。
 遭難者を捜索する。

 救助対象、東下層区教会の孤児達。
 エリックとアレン。
 テオドール、デュオニスが男の子。
 カーチャとノイエが女の子・総勢6人。

 1人も欠けず救い出すのが目標だが。
 俺達から1人でも掛けてはならない。
 迅速に、しかし慎重に。
 慎重かつ大胆に行こう。

 それじゃあ……救助隊、出動!



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