黒鷲の旅団
7日目(3)黒鷲の始まり

 今日は北門の方へ誘導。
 主戦場だが後方配備。
 落ち着いて挑もう。

「よ〜う、来たな〜」
「待ってたよー」

 輜重隊に鍛冶屋ハミルトン。
 道具屋ドリス、仕立て屋カーラの姿。
 子供達が呼んでおいてくれたのか。
 案内の騎士とも段取りがついていた?

 新人の装備を買う。
 支度金も10万渡すとして。
 メイン武器はこちらで用意しよう。

 カーラ、着付けする時間は無いか。
 ん、大丈夫?
 任せろと言うので任せるが。
 間に合わなければ靴だけでも。

 まずはマルカ、カーチャ、ノイエ。
 3人に旅の装いセットを買う。

 武器はカーチャとノイエに小銃。
 いつものウィンチェスターを。
 ドリスには狙撃スコープを手配して貰う。

 マルカは機械が苦手か。弓ならどうか。
 剣の方が得意だと言うのだが。
 戦場に飛び道具は必須だ。

「んでもー。
 ショートボウなんて物足りねぇよー」

 確かに短弓の火力不足は気になる。
 ハミルトン爺さんに相談……
 強化弓、コンポジットボウを提案された。

「あのあの、私も欲しいです」
「い〜なぁー、欲しいなぁ〜」

 マリナとフェドラも欲しいと言う。
 俺も欲しいので4本。
 結構、高くついてしまった。
 値段に見合った効果を期待しよう。

 取りあえずの矢弾は自分で買わせる。
 が、加減も分からんと思う。
 俺も予備を揃えておく。

 矢束、太矢束、弾薬パック……
 魔力薬も要るだろうか。
 治癒魔法が無い新人達。
 念の為、回復薬も持たせる。
 ドリスの持ち込みが足りないか。
 輜重隊も頼りにする。

「へへ、カッコいい〜」
「お揃いだね! 良いよね!」

 旅の装いセットは間に合ったか。
 各々気に入ってくれた様子。
 特に大人しげなノイエ。
 頬を赤くしてぴょんぴょん跳ねる。

 爪弾きにされていた子だった。
 堂々と並べる仲間を得て。
 重い抑圧から解き放たれてと。
 すくすく育って欲しい物だ。

 あとは……持ち込みの商品を見渡して。
 アンゼ達、花人に、ケープを買う。
 少しでも誤射を避ける為だ。
 人類側の者だと見せたい。

 それと、旗なんてあるか?
 出来合いの物を見せて貰う。
 と、丁度良い物がある。

 赤地に黒い鳥、猛禽類らしいマーク。
 大人しい子達でも雁行陣形。
 鳥さんは気に入っていて。
 強そうな猛禽。勝気な子も嫌がるまい。

「あっ、鳥さん!」
「鳥さんの旗だ!」
「かっけーな〜」
「強そう〜」

 子供達も集まって来て。
 チーム名を決めたの?とユッタ。
 あー、募兵官にも聞かれたが。
 まだ特に決めていなかった。

 黒い、猛禽なー。
 俺の愛銃がブラックホークだが。
 しかし『黒鷹団』だと語呂が悪いか。
『黒鷲団』を提案してみる。

「いいじゃん!」
「いいね、強そう!」
「カッコいいかも〜」

 子供達、特に意義は無い様。
 これで売り出してみよう。

「おおっと、居た居た!
 旦那、旦那!」

「ちょっと相談良いかー?」

 イェルマイン、サナトス達。
 参戦の登録は済ませた様子。
 相談は、布陣。メンバー構成。

 少年兵達を前に出したくない。
 遠射担当のロッシィ分隊を結成。
 俺の隊に随行させる。
 ステラさん、武器がクロスボウになった。
 三段射撃が気に入ったのだろうか。

 サナトスはイェルマイン達。
 雇った騎兵が何人か。
 騎兵中心の部隊で遊撃に出る。

 ふと、従騎士ノインテリアさん。
 マグダレーナの従者。
 同じ従騎士ルキュアさんと気が合うのか。
 何か談笑している。

「ああっと、居た居た!
 探したよー!」

 公主さんが駆け付けて。
 何このデジャヴ。
 新兵の指揮を一部預けたいという。

 見れば若い女弓兵チーム。
 弩兵や銃士も居るのか。
 遠射部隊の増設を考えているらしい。

 出自は貴族の次女三女。
 一同暗い顔なのは?
 近衛隊の試験に落ちた落ち零れなのか。
 挙句、実家にも戻り辛いのが実に8人。

 嫁入りを拒み軍に志願。
 しかし貴族なものだ。
 一般兵卒というワケにも行かず。
 名目上は隊長候補生として。
 しかし訓練と実績が足りない。

 まあ、やる事は一緒だ。
 俺の隊に随行して貰う。

 冒険者ガイゼル達が合流。
 あとサンドラの試験監督役。
 フレスさん達が後方に。

 試験と新人指導の同時進行だ。
 これは締めて掛からんと。

 それではー『黒鷲団』だったな。
 配置に付くぞー。



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