黒鷲の旅団
7日目(8)廃村に残ったモノは
グリフィンを撃退して、村の制圧完了。
生存者は……居ないと思うが。
それでも一応見て行こう。
3〜5人ぐらいに別れて調査を開始。
死体は……無いな。1つも無い。
やはりアンデッド化・再利用の線が濃厚。
グリフィンが食って、こうはなるまい。
「おっちゃん、何か鳴いてる。
猫、かな? うーん?」
ティルアが報告に戻った。
裏手で何か聞こえるという。行ってみよう。
「あーう……ああーう〜……あーう……
人間さんー……子供さーん?」
洞窟に向かって、アルラウネ?
アルラウネが悲しげに鳴いて?いた。
妙な光景だが、子供と聞こえただろうか。
洞窟の中に子供が居る?
「あんなー」
「かとれあんなー」
「何してるかー?」
「あんぜー……と、ああう、人間さん!
とても良いトコ来た!」
頭に紫の花。カトレアンナ。
カトレアンナ・カトレア
・ヘルツェンバインと名乗る。
花の色こそ違うが、アンゼ達の仲間らしい。
喋りがカタコトで分り難いのだが。
要約すると、やはり内部に子供が居る。
恐らくお腹を空かせている。
食べ物をあげたい。
しかし、怖がっているのか出て来ない。
人間の俺に様子を見て来て欲しいと言う。
探知魔法……青反応2つ。
解析。村人と思われる。
ステータス異常、飢餓状態。良くないな。
俺が様子を見に行くが……そうだな。
マルカとレーネに同行して貰おう。
照明魔法を点火。洞窟の中へ。
「うっぷ!」
「臭ッ! 何だコレ!」
内部は酷い臭いだ。
死臭。腐敗臭。ネズミの影。
大人の死体が幾つかと……
「い、居ました!」
「えっ、よ、よく見えんね?」
流石はダンピール、かは分からないが。
夜目が効くレーネが先んじて発見。
子供が2人倒れている。
診断……まだ息はあるな。
こんな不潔な所で治療も無い。
マルカ、1人背負ってくれ。
軽く活力魔法を掛けよう。
一旦外に運び出す。
洞窟を出る。
落ち着いた環境で治療に掛かる。
設営準備。幸か不幸か廃村だ。
状態の良い家に要救助者を担ぎ込む。
ユッタ達が薪の確保。
俺は保護した子供達に食事を与えてみる。
干し肉……ダメだ。吐いてしまう。
何か消化の良い物が欲しいな。
花人さん達、果物とか持ってない?
と、ベゴニエッタさん、何か植物の魔法。
クリエイト・プラント、ベリーの木。
背の低い木が生えて来た。
小さい木の実が生っている。
カリマ、ペトリナ、木の実を集めてくれ。
目利きのイェンナには捜索依頼。
何か薄い布を探して貰う。
すると少しして、衣類か。
家のタンスから衣類を拝借して来た。
「ま、マズいかな、これ。高そう」
緊急時だ。勘弁して貰おう。
あとで代金ぐらいは置いて行く。
衣類を切って、袋状にして。
ベリーを包んで潰す。
染み出て来た汁を飲ませる。
何とか口には入った様だ。
解析魔法。飢餓が消えて衰弱状態に。
再び活力魔法を掛け、少し様子を見よう。
「お、おっ……おじさん。
これ、食えないかな」
マルカ、何かの肉を持って来た。
オッサン呼びからおじさんに。
俺も何かクラスチェンジした様だが。
持って来たのはグリフィンの肉か?
見てみよう。
解析魔法、鑑定・目利きスキル。
グリフィン肉。食用素材。
鶏肉に近い味がする……らしい。
「やった! 食えるってよ!」
「向こうに落ちたのも取って来ようよ!」
子供らがグリフィンを解体に掛かる。
マルカとティルアが上手い。
住んでいた村が食料不足。
度々狩りをしていたという。
グリフィン肉を細かく切る。串に刺す。
錬成魔法でソルト。
コショウは廃屋から頂戴する。
ユッタ、コショウの相場って分かる?
代金ぐらいは置いて行きたい。
遺族が戻って、後で揉めるかも知れん。
「すんすん、すんすん……」
「お腹減った……ごはん……」
肉を焙る匂いに気付いたか。
寝かせていた空腹2名が起きて来た。
食欲が戻った途端だ。
2人とも凄い良く食べる。
そんな慌てるな。また吐いちゃうから。
食事が済んで、一息。
助けた子供達に話を聞きたい。
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