黒鷲の旅団
8日目(11)爆炎と霧霜
ジズデリア、ロードメイアと移動。
に魔女協会の練習場へ。
新魔法開発について、の意見交換。
ちょっと脳筋魔女なロードメイアさん。
新魔法については行き当たりばったり。
沢山魔法を使ってると閃くという認識。
類稀なる勘と数撃ちゃ何とかの成果。
それでも両手の指では足りない程度。
新魔法を発見している。
炎から派生。焦熱、走火、爆炎魔法。
雷から派生。雷球、雷壁、轟雷魔法。
水から派生。水刃、流水魔法。
風から派生。風刃、暴風魔法。
土からは岩弾を。
氷結から氷槍魔法を派生した。
魔法界の先達は多いが。
既存魔法、古代魔法の使い手が多数。
そんな中、新魔法、魔法開発で先を行く。
ソーサラーのマスター称号まで持っている。
元素・精霊魔法使いのエースの自負。
しかし長らくスランプが続いた。
より上位の魔法が見つからないで居た。
新魔法の存在自体が頭打ちか。
そう、世間の熱も冷めつつあって。
そこへ来て、俺の新魔法発見か。
水蒸気、砂塵魔法。
対立するハズの4大元素の融合。
錬成魔法を応用した強制治癒。
除細動器の再現。
凄いと思う一方、激しく嫉妬したと。
「まままままあ、私の事は良いのよっ!
それより、あんたの魔法。
作り方が知りたいんだけど」
俺の魔法の作り方、か。
今日また見つけて気付いた事がある。
恐らく、新魔法開発には条件がある。
『必要な要素』が1つとして。
もう1つ『こうあれというイメージ』だ。
キッカケは創傷ではなく整脈魔法。
何度となく使った組み合わせ。
造血と鎮静魔法の併用。
それが今日になって整脈魔法を派生した。
千切られた腕、血管の復元という作業。
造血の『血』と鎮静の『安定化』。
その必要要素だけでなく。
『血を正常に流す』というイメージ。
これが必要だったのだろう。
何が出来るかな、と。
そういう漠然とした期待ではなく。
何を作ってやるという意思。
その筋道建てがカギとなる。
ゲームとはいえ、電脳世界の一端。
機械と脳がリンクされている。
脳波でもモニタされているのだろう。
という事を踏まえて。
1つ、やってみるか。
練習場の空き地を目標地点に。
並列発動、水蒸気・凍結。
これを連射発動で追い掛ける。
並列の水・霧霜で水量と冷気を足す。
速射で更に追う。
強化で鋭く、植物に彩って。
氷花魔法フロストガーデン発動。
氷で出来た茨が生い茂る。
鋭い花弁の氷の花がそびえ立つ。
当たれば冷気ダメージの他。
物理的な殺傷力もありそうだ。
「……キレイじゃん」
ぼんやり眺めているロードメイア。
感心ばっかりじゃなくて。
自分でも作ってくれよ?
「そそそそうだった。
えーとね、あー……うーん?」
あれこれ試してみるメイア。
残念ながら新魔法には至らない。
が、何か掴めそうだという。
氷花魔法は特許申請。
同時、メイアにも伝授する。
礼代わりに氷結、焦熱魔法を貰った。
焦熱魔法。
聞く所、これも偶然の産物らしい。
炎無効化の鎧を着た相手がいて。
防御を誇示されて頭に来た?
剥きになって炎魔法。
炎を掻き消されながら。
しかし熱ダメージで打ち破った。
外から焼かず内部から燃焼させる。
それと、アドバイス。
伝承したくない魔法はロック可能。
解除には単に宣言すれば良し。
逆にロックを掛けていなかった場合。
教える気が無くても奪われる?
洞察や何かのスキルで習得されるとか。
持ち主から消えるでもなさそうだが。
伝承料は貴重な収入源だ。気を付けよう。
「凄いな。氷花魔法も特許内定を得たぞ。
それと、先の魔法についてだが」
大魔女筆頭ジズデリアより通達。
霧霜魔法は攻撃Bクラス。
再現魔法は多目的Aクラスの評価。
創傷、整脈については、また後で。
それから……称号を貰った?
「うむ。大陸魔法機関より。
貴殿に『霧霜卿』の称号が下賜された。
水や氷結の高位術士は少ないでな。
レベルは足らんが将来性は充分だろう」
称号『霧霜卿』。
メイアの『爆炎卿』と並ぶ固有称号。
固有。同時に1人しか持てないらしい。
言うなれば二つ名の様な物か。
補正効果は、水・凍結系魔法の威力向上。
俺を倒した所で奪われる物ではなさそう。
狩られる心配が無い。
単に力が増えたと思って良いか。
しかし、年下らしいジズ様。
彼女からもレベルが足らんと。
レベル上げも頑張らないと、だな……
子供達も授業を終えたらしい。
集まって来る。
まだ日も高いし、少し運動に行こう。
落ち着きの無い子は座学の方が疲れたか?
真面目な子達も、覚えた魔法を試したい。
ロードメイアと再会の約束をして別れる。
次に会う時は新魔法を自慢してやると。
こちらも楽しみにしていよう。
「じゃあね、霧霜の!
あたしとあんたで双璧だからね!
ルーマニア魔法界! 盛り立てるよ!」
一方的にライバルにされた感。
まあ、せいぜい張り合ってみよう。
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