黒鷲の旅団
9日目(10)婆ちゃんと図書館
昼食後、魔女協会へ。
子供達は魔女魔法授業。
進んでいる子は3級。
あとの子は2級だ。
授業料について、大魔女達と協議。
今の所、初級が2万、2級が5万。
その先を考えていなかった。
3級は10万でどうか。
以降は5万ずつ上げる方向で。
もっと安くても、との声もあるのだが。
魔女協会だって維持費は必要だ。
通信、転移、治癒を覚える。
後は、いよいよ自由取得。
攻撃魔法も覚えたい?
張り切っている子が多い。
……多い所で悪いんだが。
NPCの魔法習得可能数。
これは魔力値に比例する様子。
各隊、魔力の多い子達。
阻害魔法も1つ覚えて欲しい。
銃士隊はハーフ・ハイエルフのカリマ。
既に閃光魔法を持っていた。
半堕天使のノイエも賛成。
凍結魔法に興味があると言ってくれる。
弩兵隊は魔力適正が充実。
エルフのアイリス。
ハーフニンフのテルーザが高適性。
ハーフドライアードのツェンタ。
先天的に植物魔法を所持。
特に植物魔法第2位。
ソーンバインドが捕獲に使える。
ダンピールのレーネが次点。
ハーフセイレーンのティルア。
こちらも適正は低くない。
弓兵隊は、半魔人フェドラ。
彼女が群を抜いているものの。
他に魔法適正があるのは?
ハーフマーメイドのエメリナぐらい。
半竜人マルカや人狼フレヤ。
身体能力こそ高いのだが。
その一方、魔力適正は低い様だ。
銃より弓のが魔法付与に良いのだが。
まあ、力で取り押さえられる。
それならそれでも良いか。
アンゼ達、花人弓兵隊。
魔力値はそれなりにあるのだが。
得意属性が偏っている。
毒素や凍結系列は苦手。
それでも植物魔法があるだけ楽か。
「阻害の魔法を覚える、理由……」
「分かった!
殺さないで捕まえるんだ!」
「ああっ、先越された!」
参謀の子を中心に、かな。
自分でも考える、が流行っている様子。
良い事だ。盲目的に従うより良い。
俺だって間違える事はある。
フォローするぐらいのつもりで。
身体・魔力。
共に高くないのは人間寄りの種族。
ハーフホビットのユッタ。
ハーフエルフのイェンナ。
人間のマリナ、ペトリナ。
カーチャ、ルーシャも。
猫人ジェマも、敏捷性はあるが力は弱い。
魔法攻撃力。
これは魔力値に比例するが、それでも。
腕力に自信が無い子の代替手段。
攻撃魔法も持った方が良いだろうか。
まあ、まだまだ育てる。
レベルも上げてやるから。
あまり気負わずに覚えてみて欲しい。
ただ、得意な子と競争したとして。
そうそう敵わない事は覚えておこう。
出来ない事を夢想するのは後回し。
まずは出来る事を組み合わせるんだ。
「魔力が少なくても出来る事……何だろ」
「先生とか、ドラちゃん先輩に聞いてみよう」
「あたしはもう、何取るか決めたもんね」
「ズルいにゃ。ジェマにも教えるにゃあ〜」
ユッタとマリナが頭を捻る。
イェンナとジェマは楽しそうで結構。
それじゃ、しっかりな。
子供達を授業に送り出して。
俺はレイヴン婆さんと図書館に籠る。
お婆の知恵を貸してくれる。
有難く借り受けたい。
「ひっひひ。若い男と図書館デェトさ。
ちょいとワクワクするねえ。
おっと、そこの棚だ。その赤い背表紙の」
楽しげに婆さん、幾つか本をチョイス。
『心の魔法』から読心魔法。
レベルが低くても価値はある。
表面的な思考ぐらい読み取れるらしい。
次、『闇祓いの歴史』から。
看破、遠見、結界魔法。
看破は罠や隠密行動を見破る。
結界魔法は攻撃や敵対者の侵入を阻む。
『初級交渉術指南書』から。
交渉、品格、魅力スキル。
言い包めるなら助けになるハズだ。
『初級野営指南書』から。
野営、罠知識スキル。
罠を察知すれば先手を取られ難い。
『2級体術指南書』から。
重心、平衡感覚、旋体、反動スキル。
これは単純に俺を強化する話。
『2級軍略指南書』から。
魔法兵、魔物兵の統率スキル。
魔法兵、とは?
魔女や魔道士にも限らないらしく。
魔法弓士など兼業職にも効果が及ぶ。
例えば魔法を覚えたユッタ。
銃士と魔法兵スキル。
両方のパラメータ補正を受ける。
丈夫になれば、怪我し難くなるだろう。
と、ここらでスキルポイントも尽きた。
婆さん、この辺で良いよ。ありがとう。
あとは座って話しでもしようか。
双子の暗殺者。
また接触して来た場合どうするか。
友好的なら良いが、そうでない場合だ。
表面的にでも思考を読む。奇襲を防ぐ。
あとは言い含めるか、取り押さえるか。
交渉するにも力は要る。
対抗できる様にならないと。
何を交渉するか、と聞かれ。
子供達の友達になってくれ、とか。
主従でない友好関係。
その辺に落ち着けられれば理想的だ。
「ハインちゃんだって気を付けるんだよ?
簡単に、お前のモノにならないぞってね。
目下に上から言われても聞けないモンさ」
そう。俺自身のレベル。
単純計算でも20はレベルを上げないと。
あの双子は言う事を聞くまい。
通信あり。子供達の授業も終わった様だ。
婆さんに礼を言って図書館を後にする。
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